生まれつき恋が出来ない女の子が恋を探す物語
公式HPのストーリーを見るとただのドタバタ恋愛ものにしか見えず、この作品の魅力が伝わらないだろうのは惜しい。
だから物語自体のネタバレはせずにこの作品の魅力を伝えたい。
ひこうき雲の向こう側、というタイトルはまさにこの作品のストーリーを体言していると言っていい。
この物語の登場人物達はみな、恋に何かしらの障害を抱えている。
何をやっても簡単であるが故に、何をやっても満たされなかった少女は恋が分からなかった。
初恋の人が妹になった時から時が止まってしまった主人公は、恋が出来なくなった。
少女は主人公に興味を示す。
校内一モテるという子をフッたからだ。
「なぜ?彼女もち?不能?ホモ?」
そして少女は主人公の観測を始める。
ひこうき雲の先には雨が待っているのだとしても、
止まない雨はないのだと信じて。
恋を知ることを始める。
ゲームのパッケージの真ん中は妹なので、これは妹ゲーに思えるしある意味そうである。
しかしこのゲームは瑛莉√こそが本質であり、そして最も良い。エピローグは卑怯すぎた。
このゲームのひこうき雲は雨を予感させるものになっている。
ひこうき雲の向こう側にどう行くのか、それがこの作品の肝である。
でも、向こう側に行って物語は終わりじゃない。
たった一つの言葉に向かってずっと続いていく。
やり終えた後の喪失感ともいえる感覚を味わえる作品にめぐり合えることはそう多くない。
そういう物を求めている人には絶対やってほしい作品である。
―――「解散!」