ErogameScape -エロゲー批評空間-

bardさんのCLANNADの長文感想

ユーザー
bard
ゲーム
CLANNAD
ブランド
GungHo Works(Interchannel、NECインターチャネル)
得点
100
参照数
429

一言コメント

もう何回もプレイしていたので音声だけ聞くつもりでいたのに、やり始めたらラストまでやってしてしまっていた。何度やっても飽きない。何度やっても笑える。何度やっても泣ける。本当にすばらしい作品ってそういうものです。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

音声評価(主観)
渚○ 杏△ ことみ× 智代△ 風子× 有紀寧○ 美佐枝◎ 
春原○ 芽衣◎ 椋○ 勝平△ 公子◎ 芳野○ 秋夫× 早苗○
幸村○ 直幸○ 汐◎
個別に音声を消すこと可。主人公に声はない。主人公の名前を変更した場合音声はオフになる。


PC版からの変更点
一部のHな言葉、キャラクター名が削除または変更されていた。わずかだが追加されていた文章もあり。
OPムービーが最初から見ることができる。
追加のCGはなし


システム
PS2のギャルゲーはやらないためそうゆう比較はできないが、PC版より格段に使いやすくなっている。
セーブ、ロード画面ではそのシーンの画と文章がでるようになり、わかりやすくなった。またボタン一つで次の選択肢までジャンプできるようになった。これは楽ちんすぎて感動した。





※ここからはネタバレですが読まないほうがいいです。いつまでたっても全く文章力が上がらない俺にレインボー





相楽美佐枝
 まず、声優の雪野五月さんがはまり役だった。イメージぴったし、演技も抜群。今回、PS2版では自分のイメージと違う声が多かった中、数少ない大満足できるものだった。美佐枝さんの魅力upです。声に演技力があるとやはりそれだけ作品が映える。このシナリオに関していえばPC版より声があったことでよくなりました。話は麻枝さんが書いてるだけあって日常シーンの会話は爆笑の連続。春原の「おっぱい」や仁科、杉坂と並ぶ名脇役のユキ、サキコンビとの掛け合いは本当に面白かった。 終盤の美佐枝さんが願い事をいうシーンは今作屈指の名シーン。切ないです。今作はすべてハッピーエンドで終わっていて、この話も一応そうなんですが、切ないです。
 それと、ちょっとした推理なんですがエンブレムの色が、朋也が3年時、3年は青、2年は赤、1年は緑。そして、美佐枝さんの高校時代のエンブレムは緑。1年で生徒会長というのはありえないのでたぶんこの学校は1度きまった色を3年間着けることが予想される。そして逆算していき、23歳と言われて喜んでいたこと、30歳までいっていないという発言を考慮にいれて、おそらく美佐枝さんの年齢は25歳または28歳ではないかと予想してみます。
 あと、草野球のときのピーの入れ方がちょっとおもしろかった


坂上智代
 私的№1ギャグがおもしろいシナリオ。気に入ったギャグは暗唱できるくらい繰り返し読んだ。春原が体を張った笑いも最高。
 この話にが共感できる人はおそらく朋也のような状態になったことが一度でもある人でしょう。努力を苦もなく行うことが人、落ちぶれた経験のない人はたぶん共感できないでしょうね。自分の場合、高校時代は朋也と同じ進学校の落ちこぼれでしたから、共感したり読んでいて痛いシーンが多かった。
 ただ別れるという選択は立派だったんじゃないでしょうか。冷め切った家庭で愛情をかけられずに育った智代は愛を人一倍渇望していた、だから、時にそれが強すぎて自分を見失ってしまう。智代は生徒会か朋也の2択だったら間違いなく後者を選ぶ。仮に朋也と付き合い続けていたら、桜を守ることもできなかったでしょう。そしてまた、朋也は自分という存在が周りからどう映っているのか、そのことがどれだけ彼女の足を引っ張るのか、痛いほどわかっているから、彼女のためを思って身を引いた。これって男として立派な決断だと思う。・・・こう思う人って少数派なのかなあ

※余談・・・智代はPS2は桑島法子さん、智代アフターは一色ヒカルさんと異なりますが、PC版をやった自分のイメージに近かったのは今作だった。演技面で多少の不満はありますけどね。覇気がなかったり。それと、削除されていたリットン。クレームきた?


一之瀬ことみ
ひらがな三つでことみ
鴻太郎と水恵の最初の文字をとってことみ
5月13日生まれの女の子だからことみ
ハープの琴、異なった音だからことみ

 さて感想に移ります。声優については、有名な能登さんですが・・・途中から耐えられなくなって音声オフにしました。あまり触れるのは止めておきましょう。
 シナリオは学園編では私的NO1。何気ない伏線の数々、終盤のまるで詩のように美しい言葉、すばらしい演出、なにもかもが最高。もう十回以上このシナリオをクリアーしているのにもかかわらず、それでも号泣。「世界は美しい」本当にいい言葉です。

※ちょっとしたトリビア・・・ことみのテーマ曲のEtude pour les petites supercordes、カスタネットとトライアングルの音が入っているが、過去の回想ではバイオリンの音だけになっている。芸が細かいです。


春原陽平・芽衣
前述したように高校時代、自分は落ちこぼれだった。遅刻や欠席はほとんどなかったが、勉強せず授業の三分の一は寝ていた。当然、授業の内容にもついていけなくて、授業中に指されて恥をかくことが多かった。中学の時は成績がよくて、へんにプライドが高かったから、余計にみじめに感じた。そういうとき自分を救ってくれたのは、同じように成績が悪い友達だった。勉強ができないグループみたいなものが自然にできていた。先生からは傷のなめあいと言われたりもしたし、周りの人からは駄目な奴らと思われていただろう。それでも、ミスを笑いあったり、馬鹿にしあったりしたおかげでつらい気持ちにはならなかった、むしろすごく楽しかった。勉強は嫌いだったけど、学校に行くのが苦じゃなかったのは彼らのおかげだった。もし自分一人だけだったら、つらくて学校に行かなくなっていたかもしれない。彼らに感謝するっていうのはおかしいかもしれないが、同じクラスになって一緒に時間を過ごせて本当によかった。

ごめんなさい個人的な話でした。

 声ですが春原はイメージとは違ってたけどなかなかよかった。声がつきでセリフを聞いて感動したこともしばしば、最初の方の授業中に歌う歌は聞いてみて初めてどんな歌なのかわかったし(あれは実際ある歌なのか?)、「ボンバヘ」「ひいぃぃーー!」は言い方だけで爆笑した。
 芽衣は声がつくとやばいぐらいかわいい。田村ゆかりさんはさすが売れっ子、すばらしい。「おにいちゃん」攻撃とか破壊力抜群でした。話はべたではあるけどよかった。春原が芽衣を助けに現れるところで思わずガッツポーズしたし。けんかした次の日にお互いの顔を見て笑い合い、いつも通りに戻るってところは、そんな友達関係っていいなあって羨ましく思った。サッカー部は不満、悪すぎ!
 今作は感動した、とか、笑えた、という感想より先に「楽しかった」というものがくる(笑えるとは微妙に違う)。それは間違いなく春原陽平という親友の存在が大きい。エロゲー、ギャルゲーを批評する場でいうことではないが、男は野郎と一緒の時が一番楽しいんだってことを改めて思った。


伊吹風子・公子
 いきなり余談から始めますが、普通のゲームにはあってギャルゲーにはないものってなんでしょう?
たくさん挙げられるでしょう。予算やスタッフの人数などは悲しいことにどうにもならないでしょうが、どうにかなることもある。その一つにやりこみ度、自由度があげられます。選択肢にほとんど意味がなく、ほぼ一本道の話で終わり、これが通常です。2週目、3週目やっても楽しめる。そうゆう工夫があるギャルゲーで本当に少ないんです。(まだ50本もやってない輩が偉そうにいうことでもありませんが)
 今作はそれを異常なほどがんばっているゲームです。例を挙げます。このシナリオの中盤、風子が生徒に渡すプレゼントがヒトデでいいか試すところで、一階、三階、資料室と選択肢がでます。ここで一階を選んだ場合智代にヒトデで渡すことになりますが、ここでの会話が、「智代を知らない」「智代を知っている」「智代と面識がある」「渚と智代が面識がある」これらの条件の異なることで微妙に変化するんです!!・・・この無駄さと、すごさと、発見したときの感動がうまく伝わるかどうかわかりませんが、こうゆう変化がいたるところにあり、何度プレイしても新たな発見があって飽きません。いろいろな選択肢を選んで既読スキップが止まることに喜ぶ。そんな楽しみができたのはこのゲームだけでした。
 
 話は前半はボケボケで爆笑、後半は号泣。風子の存在が消え始めてからの春原、古河家の反応。結婚式、風子の思いが届いてたくさんの人達が祝福に訪れてくれたシーン・・・一応、自分も泣くの我慢するんだけど、こんなの無理です。リアリイ?


古河渚
「萌え」という言葉は古河渚には軽すぎる。「愛おしい」そんなキャラ。
何気ない会話がすごく微笑ましくて、読んでて照れてくる。そして二人がお互いを支えにしているのが自然に書かれていてよかった。
このシナリオで一番好きなシーンは、雨のバスケ事件の後、渚が勇気を出して手を振ったところから朋也が涙で湿ったパンを奪って食べるところです。最初はあまり気にならなかったシーンですが、読み返したときにいろいろと感慨深くて、すごく素敵なシーンに思えた。


Afterstory
 PS2になり音声が入ってよくなった部分ももちろんあるが、悪くなった部分もある。その一つに音楽による演出が挙げられる。もっと具体的にいうと「遥かな年月」と「願いが叶う場所Ⅱ」が流れるシーンですが、もともと、音声なしのペースで読めばちょうどよくはまるようにできているものであるのに、そのまま音声をあてるものだから変なところで音が切れてしまっていた。これは非常に残念。サウンドトラックの最後に書かれていたような、曲の頭を短い小節でループさせておき、メッセージがある地点に達した時、曲を展開させる、または曲を長くするとうの工夫が欲しかった。
 ノベルゲームのいいところに自分のペースで読めるということがあるが、逆に作る側にしたら、望み通りに演出を見てもらうことって時に難しいことなんだろうなと思う。

 それと「朋也くんより(ry」はちょっと楽しみにしてただけに、削除されていたときは思わずプラトーンしてしまった。

 シナリオの感想はまず、社会人になることのつらさが描かれてますが・・・大学生の自分にとっては読んでて痛いです。そしていろいろ考えさせられました。このあたり社会人の方はどう思うか意見も聞きたいところですが、自分としては社会人になる前にプレイできてよかった・・・これからがんばります。

その他のシーンで特によかった、好きなシーンは
・仲間達が開いてくれた卒業式
・秋夫との野球対決
・岬での一部始終
・直幸との和解
・3週目

泣いた量とかはんぱなかった。たぶんずっとやり続けたら干からびてます。
だけどすごく心地よい
愛や優しさで流す涙ってそういうもの


おまけシナリオ
風子のところでも書きましたが、今作の長所の一つに自由度、やりこみ度の高さがあげられます。草野球、春原、斉藤、64Hit、バスケメンバー、偽彼女・・・などなど。遊びつくしました。おなかいっぱいですv