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ban_07さんの恋式マニュアルの長文感想

ユーザー
ban_07
ゲーム
恋式マニュアル
ブランド
GLacé(GLace)
得点
75
参照数
1088

一言コメント

おもしろかったが不満点もそこそこある。しかしそれでもやっていて楽しかった。そんな作品でした。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

設定上恋愛をしていく「過程」を重視した作品ではあるのだが、特別丁寧に描かれていたというほどでもないのは少し残念だった。 特段悪かったというわけでもないのだが、多少の物足りなさを覚えた。
しかし、個別の付き合ってからの話がそれ以上に残念というか、物足りなかった。イチャイチャはそんなに悪くなかったが、それだけであった。
よく言えば王道で外さない、悪く言うなら安直でひねりのない簡単に予想がつく展開でキャラ自身以上の魅力をあまり感じなかった。

どのキャラも恋愛下手であり、主人公とヒロインの2人ではちっとも進展しないのだが、サブキャラ(特に理緒先輩と奏多)がうまく話を動かす要因として描かれており、進展の仕方にあまり不自然さを感じなかったのは良かった

また、個別の後に開放される3人√とハーレム√が期待していたよりも楽しめたのはうれしい誤算。
2人以上の複数人のハーレム系において、私としてはその形を全員が納得し受け入れ、積極的にその形での幸せを選び取ろうとするというものであってこそだと思っているのでそういう部分が描かれていたのは非常に良かった。
最初はヒロイン側からそういった提案を受け、主人公が受け身ではあるものの、主人公も最終的にそれを自ら選び取る選択をする描写があり良かったと思う。

END後にタイトル画面が変わるのはいいのだが、元のタイトル画面に戻したり、他のENDを見ると以前のEND後のタイトル画面にできなくなるのはちょっと残念。


○個別

・姫乃
見栄っ張りでプライドが高くて独占欲が強くて根暗とかいうめんどくさい女。
だからこそ過程での変わっていく部分は良かったけどもその分付き合ってからが弱いと感じた。
学園長の娘という立場上ラスボスが学園長というのは分かり易すぎたし、それもあっさり解決してしまった感が否めなかった。

・穂花
「恋をすると女は変わる」などと言われたりもするが、まさにその典型的なお話。
変化に関して、「メガネを取ったら美人」などという部分があったりしたが少しこれには疑問を感じた。
私自身メガネをかけているので思うのだが、メガネをかける程度では多少の印象の変化こそあるものの美人がそうでなくなるというほどの大きな変化は無いのではないだろうか。
今作ではメガネだけでなく髪型や制服の着こなし(というよりは着崩しであろうか)などを含めたイメージチェンジの要素の1つとしての「メガネを外す」というもので、必ずしもメガネだけでそんなに変化したというわけでもないのだろうが、そう取れるような描写があり少し気になった。
他には告白即Hなども多少気になったところではあるのだが、それ以上に一番気になったのが、パンツの上からのモザイクである。
穂花の回想2枠目のシーンでのみ、パンツの上から秘部にモザイクがかかっていた。他のキャラやシーンなどでは無かったにも関わらずその1ヵ所だけモザイクがかかっていたのが非常に気になった。

・愛希
暴走系鈍感アホ娘。ED直前の最後の最後で呼び方から「先輩」が無くなるのは少し卑怯。
恋を知らないところから知っていく過程の描写は悪くないがアホの娘すぎて多少「いい加減にしろ」と言いたくなる部分もややあった。

・あまね
無口設定のわりにはけっこうしゃべった印象があった。
喜怒哀楽が乏しいというよりはそれが表情に出てこないだけのようにも思えました。個別ではなかなかストレートに「好き」の気持ちを向けてくるのでそこにはニヤニヤさせられました。


○3人√
穂花&愛希と姫乃&あまねの2つあり。最初はなぜこの組み合わせなのだろうかとも思ったが、やってみて納得。
どちらもキャラクター的に対極な部分があり、お互いにそれを認め合うような形での3人という形だった。
主人公がヒロインに振り回されたりするのではなく、主人公自身も3人一緒という形で舵取りをする描写もあり良かった。
また、こちらの√だけでのみ水着シーンが用意されていたのは少し残念。個別の方でもやってもらえたらと思いました。


○ハーレム(忍)
ハーレムENDという形ではありますが、実質忍ENDのようにも思えました。
唯一の忍の女子制服姿のある√であり、また立ち位置がハーレムを取り仕切る侍従長のようにも感じられ、まさに忍のための√だったなと思いました。



各キャラともに魅力的で掛け合いも悪くなかったため特にダレたりすることもなく最後まで楽しめた。
恋愛の描写も悪くなく、不満点はあったものの総合的に見て良かったと思える作品でした。