一度cc含めフルコンプ済み。 再プレイした上での感想です。
はじめに、この長文は本編だけでなく、ノベル「雪が解け、そして雪がふるまで」とドラマCD「祭りの前 ~ふたりの二十四時間~」、「祭りの日 ~舞台の下の物語~」、「祭りの後 ~雪菜の三十分~」の内容を踏まえたものであることを記しておきます。
・1週目と2週目に関して
1週目では春希視点を中心にたまに雪菜の視点が入る程度。
ここではかずさに関して触れる部分が少なく、どちらかというと雪菜寄りな展開。
なので、かずさの本心をさらすシーンや、学祭後の、雪菜と付き合うことになったことを報告する場面でのかずさの態度などに疑問が残るまま終わってしまう。
1度Endをむかえ、もう一度プレイ(2週目)をすることでかずさの視点を中心に追加されるエピソードがある。
追加されるのは、学祭後の春希が寝ている間のかずさのキス、旅行帰りに春希が寝ている間のかずさの行動など、かずさの本音が垣間見える部分ばかりなので、これは必読です。
また、1週目をプレイした後に「雪が解け、そして雪がふるまで」を読み、2週目をプレイすることが強く推奨されます。
・雪が解け、そして雪がふるまで
かずさが普通科に転科してから本編が始まるまでの約半年間をかずさの視点で描いたノベル。
かずさがどれだけ、そしてどうして春希のことを強く想っているのかが分かるノベルなので、これも必読です。
introductory chapterの初回版に文庫形式で入ってますが、closing chapterにデジタルノベルとして収録されているのでそちらでも構いません。
忠犬かずさの始まり。かずさがかわいすぎてたまりませんでした。
・祭りの前 ~ふたりの二十四時間~
ライブ前日に、3曲目、新曲を知るところからの1日を雪菜とかずさの二人の視点で描いたドラマCD。
雪菜とかずさの微妙な距離感とやり取りがすごくいいですね。
必聴とまでは言いませんが、ぜひとも聞いてほしい物語です。
・祭りの日 ~舞台の下の物語~
学祭ライブを少し前後の部分を含んで本編とは別の視点で描いたドラマCD。
雪菜の母とかずさの母が接点を持っていたところや、依緒と武也の微妙な関係、そしてかずさの本音など、大きくはないけど知っておくといいかもしれないちょっとしたポイントがあるのでぜひとも聞いてほしい。
・祭りの後 ~雪菜の三十分~
学祭終わってからの、2週目の追加部分(かずさのキス)から春希が目覚めて雪菜の告白までの30分を雪菜視点で描くノベル。
雪菜のその時点での本心が完全に見えるノベルなのでこれもぜひ読んでほしい。
ドラマCD祭りの前に付いてるブックレットに収録されているので入手は難しそうですがPS3版には収録されているそうなのでそちらでも・・・。
物語は、学祭ライブにエントリー済みだった軽音楽同好会が学祭1ヶ月と少し前に空中分解してしまい、素直に諦めるか、諦めずにメンバーを集めるために動くか というところから始まる。
残された期間がたった1ヶ月と少ししか無いことから、出演を諦める方向に流れになっていくのだが、ふとしたキッカケでボーカリストが見つかり諦めずに動くことに決める。
前半部分は学祭出場を諦めず、メンバー集めと練習に奔走する話。
メンバー集めの部分では、雪菜とかずさが初めて2人っきりで話をする場面が特に好きです。 ぐいぐい突っ込んでくる雪菜に対してタジタジになるかずさのかわいいこと・・・
練習部分は、曲決め(特に2曲目)なども好きですが、やはりライブ直前の冬馬宅での泊り込みでの練習のところですかね……。 ライブ前日に雪菜を拉致したときの「学生さん学生さん」にやられたのは私だけではないはず。
ライブの前日や当日は、本編では春希視点が中心ですが、祭りの前では雪菜視点、祭りの日では舞台下 つまり当事者の周りの人たち(武也や依緒など)の視点で描かれており、本編だけでは見えないつながりやclosing chapterへの伏線などもあります。
本編でのライブシーンは強制オートが使われており、演出 特に音回りを大事にしてほしい自分としてはすごく良かったです。
そして、3曲目の前のMCで一度終わるのも本当にうまい。 その部分は終盤で回想として描かれるのですが、そのタイミングがまた絶妙でした。
このライブシーンは、introductory chapterで一番の見せ場の1つであり、もっとも楽しんで見れる場面ではないでしょうか。 これ以降の場面こそWHITE ALBUM2としては本番になりますが、本当に読み進めていてつらくなってきます…。
そしてライブ後、雪菜の「ずっと3人一緒に」という願いと、雪菜の告白
この告白の場面は、2週目の追加部分と祭りの後を読んだ上で見ると本当に心が苦しくなります。
「仲間外れ」というものに強く怯える雪菜が、3人で一緒にいるために、本当に想いあっている春希とかずさの2人から離れたくないという想いから行動し、そこで自身の汚さと想いの強さを自覚する場面は、かずさ派の私としてもすごくつらかったです…。
そうして始まる後半部分 まずはかずさを無事に卒業させるためにマン・ツー・ツーでの試験対策、そして卒業決定後の卒業旅行と称してのクリスマスの温泉旅行
表面上は3人仲良くこれまで通りの関係を続けているのだが、雪菜と付き合い始めてからの春希の心には言い様の無い違和感が・・・ それこそが春希自身の本心だと気づかずに・・・・・・
そんな3人の関係が決定的になる旅行ですが、ここも2週目での追加部分がすごくつらかったです・・・。
すごく温かく心地良くて、そして残酷な旅行中の部分もいいのですが、やはりその帰り道のところが好きですね。
かずさの「勘違いしそうになるだろ」というセリフにたまらなく胸が締め付けられる思いでした…。
その後、ピアノに、そして母親に対してまじめに向き合うことを決めたかずさがコンクールへの出場を決意 改めて自分がピアノが好きだということを確認する。ここの明るくなったかずさがたまらなくかわいかったですね。
コンクールに向けての調整のために周りから少し離れるかずさを、かずさに少し心が動いていることを少し自覚し始めた春希は僥倖と捉え、距離をとるようにする。
コンクール後、かずさは母親がきていたことを知り、そして海外で改めてピアノをやることを誘われる。そしてその先生となる人のところで試験を受けることに
コンクールが終わった後に、春希はかずさから「避けないでくれ」と言われるのだが、試験を受けるために再び学校へ来なくなるかずさに心を揺さぶられる。
ここのかずさの少し甘えたような声にやられました。
そんな中雪菜の誕生日が近いので誕生日パーティーを計画する。 最初は二人で祝うかかずさを呼ぶか迷っていたのだが、当日になって春希はかずさが海外へ行くことを知り、パーティーに出て雪菜にちゃんと説明するんだと迫る。
「二人には落ち着いて聞いて欲しい」と帰ろうとするかずさに対して春希の想いが、「どうして俺の前からいなくなろうとするんだよ!?」と爆発する。
この春希とかずさの二人の感情と本音のぶつかり合うシーンがたまらなく好きで、そして苦しかったです………。
かずさの本心を知り、そして自分の本心に気づいた春希は自分の嘘を自覚し、雪菜に話をしようとするが、そこにかずさが現れ海外に行く話を嘘を交えて話し、春希を庇う。
それはかずさの、親友(雪菜)に対する贖罪なのかそれとも春希に対する最後の優しさなのか……。
そして卒業式
出席しなかったかずさだが、学校には来ていたようで、そのことを春希は雪菜から聞く。
そして抑えの効かなくなった春希はかずさを求めて走り出す。
結局見つからずに家に帰ってきた春希の元にかかってくるかずさからの電話。
絶対に会わないと言うかずさに対して居場所を見つけ、会いに行く春希。
初めて心が通じる2人 ここのHシーンは思わず涙があふれそうになりました……。
そしてかずさが出立する翌日
雪菜に連れられかずさの見送りに行くことに 行く途中で雪菜に対し全てを話す春希だが、雪菜は全て知ってて割り込んだ自分には怒る資格が無いと言って春希を責めない。
空港にてかずさを見つける春希は我慢できずに抱きつく
ここの雪菜のモノローグがすごく心にきました…。
・まとめ
introductory chapterの名前通り、序章としてすごくよくできていたと思います。
続編のclosing chapterへの期待を高める終わりや、主人公とヒロインの苦悩、そしてもしかすると思わず流してしまうかもしれないようなちょっとした伏線など、本当に丁寧に作られているのだなと感じた。
すでに一度書きましたが、自分としては演出面、特に音関係は大事にしてほしいのですが、その部分は文句無しどころか、ここまでよくやってくれた という思いです。
屋上の雪菜を見つけるシーンやライブシーンなどは特にそうで、テキスト、CG、音楽などが完全にハマっていたので思わず震え上がりそうになりました。
それから、BGM自体もすごく良いものばかりでした。
「イルミネーションタウン」や「SLAPSTICK STREET」、「boy meets girl and girl」などのような明るい曲はもちろん、「言葉にできない想い」や「氷の刃」、「本当の、嘘」などのような重たい曲まで、多種多様に雰囲気に合う曲ばかりでどんどん引き込まれました。
そしてなんといっても「POWDER SNOW」ですね。 前作WHITE ALBUMでEDとして使われた曲ですが、2でも使われてすごくうれしかったのと同時に、すごく胸が苦しかったです。
POWDER SNOWはWHITE ALBUMという作品を象徴する1曲なのではないでしょうか。 私はそう感じました。
この作品に出会えて良かった。 本当に、心からそう思える作品でした。