全体的なクオリティは極めて高水準。但し、テキストに独特の癖がある為、人によっては不快感を感じるかもしれない。
高評価されているだけあって、非常に良い作品です。
設定・シナリオ・音楽・エフェクト・キャラの魅力などビジュアルノベルに欠かすことのできない基本要素はほぼ全て高水準です。一度始めるとフルコンプまで膨大な時間を要しますが、やる価値は充分あります。
唯一不満な点は、テキストに癖(これもライターさんの持ち味なのかもしれないが)があるため、時として不快感を感じてしまう場合があることです。具体的にいえば、奇妙かつ似たような言い回しが度々使用され気になってしまうこと。
例えば、「・・・、だってそうだろう?」のようなプレイヤーに問答無用で同意を求める強引な表現や、「だがそれは決して・・・ってわけじゃない。それは・・・」などの回りくどく分かりにくい表現などの多用であり、私などはテキストにこのような表現が出るたびに、「またこの言い回しか。いい加減うざったいなー」と不快感を覚えたものである。
また説明不足や不適切な表現のため、文章自体結局何を言いたいのかよく分からないものも多々あり、時としてイライラさせられた。(この不満に関しては既にプレイ済みの方ならある程度納得して頂けることだと思います。)
また高レベルの燃えゲーとの評判を聞いてプレイしたが、個人的にあまり燃えられなかった。それというのも主人公の士郎とセイバーが期待していたほど戦闘で活躍してくれない。最優のサーバントであるはずのセイバーだが、他のサーバントとの戦闘に苦戦してばかりで、爽快かつ鮮やかに1本を取るような勝利はほぼ皆無。挙句の果てには(ネタバレになるから詳しくは書かないが)とあるサーバントのマスター(人間)との1対1の勝負にも無様に負ける始末。士郎については、セイバーよりはマシな活躍をしてくれるが、それでも幸運や(ある種反則に近い)アドバンテージが与えられることで、奇跡的に勝利するという展開が圧倒的に多い為、「燃え」るよりもそのようなご都合主義的な展開に「萎え」たことも多かった。
と、ここまで色々批判的な内容を書いた為、さも悪い作品のような印象を与えてしまったかもしれないが、結論を言えば、主観的・客観的に評価しても悪い点よりも良い点の方がはるかに多く、近年稀にみる名作だと思う。特に魔術や聖杯システムなどの背景設定び世界観の設計の緻密さには(一部矛盾や破綻も見受けられるが)驚嘆させられた。またそれらの設定をうまく活かしたシナリオには終始引き込まれっぱなしだった。久しぶりに一度始めたら止められないゲームをプレイすることができた。TYPE-MOONさんには感謝したい。