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bakabakamankoさんのSISTERS ~夏の最後の日~の長文感想

ユーザー
bakabakamanko
ゲーム
SISTERS ~夏の最後の日~
ブランド
Jellyfish
得点
79
参照数
8742

一言コメント

ぐぬぬ…くらげよ、ぷかぷかういてるばあいではないぞよ。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

これはとても良いアニメーションですが、とても良いゲームとは言い難いと私は感じました。
公式HPの滝美梨香監督のコメントに「なんだかちょっと変な感じのゲームになってしまいましたが~」とあるわけですが、これは意図するものとは違うものが出来たということなのでしょうか。私が事前に得た情報だと、3人の母娘との淫靡な日常を楽しむフルアニメみたいな感じだったのに、実際は序盤と終盤に詰め込んだ駆け足気味の怒涛のエロシーンと、その間を繋ぐローテンションな会話&回想と懐かしの?テレビCM。演出重視のためなのか飛ばせないエフェクトなど、快適とは程遠いシステムも重苦しいストーリーに拍車をかけているように感じて爽快な気分は味わえませんでした。エロシーンでは物凄く興奮させられ、その点では満足でしたが、常にエッチな気分に浸れそうな雰囲気を醸し出していた予告ムービーとは違った印象が残りました。
しかし、この作品の最大の欠陥はストーリーでもシステムでもない、秋子ママとのシーンではないでしょうか。間違ってるかもしれないけれど、そう思うんだ。間違ってるかもしれーないーけどそー思うんだあああー!
って鉄矢もいってましたよ。

◇主な登場人物
・神村春香と神村千夏…姉妹。
・神村秋子さん…姉妹の母。夫とは2年前に死別。未亡人。未亡人。
・主人公…秋子さんの知り合いの千鶴さんの息子。食後に治療薬らしきものを飲まなければならないらしい。

◇間違ってるかもしれないけれど、あらまし
神村千夏はある日、父・良輔を亡くす。心筋梗塞による突然の死。千夏は父の葬儀に参列していた1人の少年と出会い、一目惚れをしてしまう。少年の口から、父親を弔うために来たという意味の言葉を千夏は聞かされる。千鶴という名の母と共に暮らす彼は、住む家こそ別々だが、千夏にとって腹違いの肉親だったのだ。
音楽を介して、姉妹は新しい家族となった少年と絆を深めていく。
兄としてではなく男性として彼に想いを募らせる千夏だが、彼と姉の仲が特別なものに変わっていることに気付き、身を引く決心をする。
その矢先、彼が交通事故に遭ってしまう。千夏に頼まれたギターの教則本を取りに行く途中の出来事だった。その知らせを受けた瞬間、姉はショックで転倒し頭部を強く打ち病院に運ばれ、妹は自分の軽はずみな一言のせいで事故に遭ったのだという呵責に苛まれる。
姉の怪我は軽傷で済み、少年は一命を取りとめた。しかし、少年には脳へのダメージが残り、記憶に障害が生じていた。少年は13日間の記憶しか思い出せない病(ウェルニッケ・コルサコフ症候群)に冒されてしまっていた。長期記憶を破壊された少年は姉妹との記憶を亡くしてしまった。
少年は、夏の間の数日を自宅でない白い家で過ごすことになった。母親が海外出張のため家を空けるので、知り合いの秋子という人の所に預けられたのだ。
秋子さんに頼まれた風呂掃除や柵作りに精を出す少年。その夜、熟女のフェロモンに抗えず秋子さんの中に精を出す少年であった。
翌日、置手紙とともに家から去った秋子さんと入れ違いで2人の少女が家にやって来る。秋子さんに説明された娘たちだと気付いた少年は「はじめまして」と挨拶する。姉妹は、久しぶりに会う彼に対し感情を抑えようと懸命になる。
※ここで少年が自分の名前を言うシーンになり、「???」になっている自分の名前を任意で設定することに。「けいすけ」と別の名前では、直後の姉妹のリアクションが変わるのが切ない。

彼との過去を思い出しながら、姉は今を生きようとし、妹は悔やみ続ける。
一方、姉妹との平穏な日々の中で少年の心に新しい感情が芽生える。
数々の選択肢の先にあるのは姉ルートなのか妹ルートなのか、いや、秋子さんルートで間違いないはず!
そんな希望に溢れていたその頃の僕でした…

さて、メインヒロインについてなのですが。
未亡人。なんてエロい響きなんでしょう。ちょっと♪振り向いて♪みただけのみーぼうじーんーなんて歌があったりなかったりしましたが、sistersでは本当に未亡人がちょっと振り向いてみてくれるのだ。エロい大人のヘロモンでムンムンなのだ。もしsistersのパッケージに触れる機会があったら、裏返しにして見てほしい。パッケを横にするとあなたの右手の親指が彼女の左の乳首に触れているであろう。それが、美しすぎる未亡人のおっぱいだ。
ゲームをスタートさせると、早速秋子さんとの2人きりのシーンが続く。
おっぱいがすごい。夏だから当然だが薄着だ。乳首がぷっくり浮いている。この人は自分が男を狂わしているという自覚がないのだろうか。目のやり場がありすぎて困る。こんなとき男ならガン見だ。ガン見しかない。オカズにするために。
電話の途中でこちらを向きウインクをしてくる秋子さんが可愛すぎて悶絶する。このままでは私の命も危ない。
もう我慢できないので秋子さんを想ってオナニーすることにする。秋子さんの名を声に出しながらオナニーに耽っていたら、自分が呼ばれたと思った彼女がいきなり部屋に入ってきた。えええええええ!
なんてな。嬉しいにきまってるじゃありませんか。
「ごめんね」
秋子さんの慈愛の眼差しが痛く、そして興奮を誘う。
妖しげな視線と艶やかな肢体をこちらに向ける秋子さん。
「わたしのこと考えて、してたの…?」ははは、あたりまえじゃないですか
「すごく元気なのね…」陰茎を優しく握られた僕は秋子さんに唇を奪われそして・・・

とまあ、こんな感じでまず最初の中出しをしたあとは色んなイベントなどこなしつつ巧みに選択肢をチョイスしていってフフ、秋子ENDを迎えるんだなんて思っていました。あの頃の私は幸せだった。何も知らなかったから。
セックスをした次の日から秋子さんいなくなっちゃった。2週間ほど家を空けるらしい。入れ違いで姉妹が来たんで、秋子さんの代わりにちょっとつまんでやりました。フフフ、悪くはありませんでしたよ。妹は覚えたてのセックスが嬉しいらしく元気いっぱい、姉は母譲りの妖艶さがやや開花しつつある様子でまあ楽しめましたよ。
で、1回目のエンディングを迎えたんだけど、ついにエンディングに秋子さん間に合わなかった。ははあ、これは選択肢を間違えましたねと思ってやり直したんだ。EXTRAS(おまけのシーン鑑賞コーナー)が全部埋まっていた気がしたけど見なかったことにして最初からやり直したんだ。ところがである。なんてこった。選択肢によるルート分岐なんてなかった。キャラの反応がちょっと変わるだけの一本道だったのだ。静かで妙に重苦しい雰囲気に惑わされてしまったが、シーン鑑賞に限れば最初の1周で事足りてたのだ。くそう、安西先生と7回も8回も会話する必要は無かったんだ。なにが「親指と人差し指は添える感じね」だ。ばーかばーか。
回想シーンで数カット登場したものの(その姿がまた美しくど可愛い)、結局秋子さんのまともなシーンは冒頭から始まるセックスで既に終わっていた。あとはタイトル通りの姉妹の独擅場。姉と同じ男を好きになった妹が、一旦は諦めた想いを特殊な状況下で露わにしてヤリまくり、気の毒だからお姉ちゃんにもヤラせてあげるよと勝ち誇りながら3Pに持って行くという股間の疼きを抑えられない話だった。姉妹は大変なエロ姉妹だった。血は争えないってこういうことをいうのだな。
あやうく姉妹のエロさに誤魔化されそうになったが、俺よ、ちょっと待ってほしい。姉妹とのやりとりを繰り返すうち主人公はいつの間にか姉妹のどっちかが好きみたいな流れになってしまっているが(過去の因縁を考慮すればそれが道理なのかもしれないが)、ゲーム開始直後秋子さんでズリセンしていたあの熱い想いはどこへ行ってしまったのだ。だいたい、秋子さんが家を空けてから妹とセックスするまでの長いノンエロ時代の間、主人公はどうやって性の処理をしていたのか。彼の脳裏には秋子ママとのエロい記憶が確かにあったはず。あんな激しい体験をした次の日からしれっと平穏な日常を送れるなど私には到底信じられない。自室で秋子さんを想いながら更なるソロ活動に励むに違いないのだ。だが、そんなシーンはひとつもなかった。べ、別にけいちゃんのオナニーが見たいわけではないのだぞ。私は安西先生…けいちゃんの妄想に出てくるあられもない秋子さんの姿が見たかったのです。無事帰宅した秋子さんのおっぱいに顔を埋めたかったのです…!セックスがしたいです…!!
秋子さんとの濃厚でエロすぎる一連のシーンがあれしかないというのは残念でならない。あんなのを真っ先に体験させておいて、実は2回目はありませんでしたでは私は納得できぬ。その冒頭のシーンにしても、騎乗位のシーンで前屈みになる前の背中を反った状態でのヌプヌプ→射精までを見たかった。ああ見たかったさ。
姉妹とのエロシーンでは、千夏の騎乗位シーンで主人公とキスする時の春香の顔が魚眼レンズで覗いたようなヒデー顔になっていて萎えた。敢えてそういう絵にしたのだろうが、私には効果が無かったようだ。
ドラマパートとエロパートで担当していた人が違っていたためか、顔の造形に多少違和感があるように思った。特に千夏は会話シーンでの可愛さがエロシーンで消えてしまって残念だった。
あと、晶ちゃんとのセクロスがあったらしんでいたなぼかぁ。ぼかぁ…

全編通して悲しげで個人的につらい話でしたが、千夏の感情の動きの豊かさに所々でほのぼのできました。自販機に当り散らすあたりが最高に良かったです。
男らしく堂々と勃起を晒すけいちゃんも素敵だと思いました。ただ、事故前と事故後ではけいちゃんの顔つき、特に目のあたりが自分には別人にしか見えないのです。事故前は父譲りのスケコマシ全開の流し目風だったのに事故後はどこか童貞臭すら感じさせるくりくり瞳です。事故前は自信満々で肉食っぽいのに事故後はちょっと不安げな草食系に見えます。別人ですと言われたら私は素直に納得できます。髪を切った理由は明示されてますが、色の違いについては不明です。春香の髪の色に近くなっているのですが、もしかしたら、事故直前に髪を切るのと一緒に彼の方から春香に合わすために染めたのでしょうか。そのくらい2人の絆は強いとでも言いたいのかこの近親バカップルめがウワーン。
父良輔=けいすけで「すけ」が重なっているのにならうと、千鶴=千夏にも何かあるのかしらという疑いが拭えません。髪の色からすると春香の方が誰の子だよって感じもしますが。良輔さんがもうひとりの女の名前の1字を娘に勝手につけちゃったとかって考えると怖いけど興味深い。偶然の産物にしても、2号さんを連想させる名前は秋子さんにとって気分の良いものではないでしょう。もしも、千鶴さんの存在を知っていて秋子さんがその名をつけた、または容認したというのならばそれはとても恐ろしいことだと思います。

sistersの公式ページが公開されてから4年半。長い間待ったことへの答えとして満足のいくものかといえばどうなんでしょう。
質の高いアニメによるキャラの表情の変化やエロシーンは大変良かったのですが、4年以上かけてこれだけなのかという思いが心を複雑にさせます。ホームページの更新具合から、本当に4年をフルに使ったのか、作品を繰り返しプレイしながら考えてしまったりします。
不謹慎な言い方になりますが、製作をしている際に前の記憶をどんどん失いながら開発をしていたんじゃないかなどと思ってしまいました。だとすれば、滝監督の「なんだかちょっと変な感じのゲームになってしまいました」の言葉にもなんだか頷ける気がするのです。

Jellyfishには現在鋭意開発中として2作品がスタンバっていて、私も発売を待ち望んでいる1人です。
呑気に漂っているように見える海月もきっと生きる為に頑張っているに違いないはずです。
sistersの発売によりJellyfishが元気にしていることは確認できたので、購買層が元気なうちに全人類に誇れるようなゲームを完成していただきたいと思います。
慌てず急いで正確にな!