世界で一番近い異性、兄と妹。それとジャコス。
この物語の核を成す皆神孝介と皆神さくやは血の繋がった兄と妹。
幼い頃から一緒に暮らし、一緒に遊び、同じ時間を共有してきた。
妹が成長し、次第に女の体へ変わってゆく様を目の当たりにした兄は、妹の中に棲むエロスに苛まれてしまう。
兄として守るべき存在の妹への情欲を緩和するために、己の心を失わないために、孝介はさくやに時折セクシャルなジョークをかます。
「セクハラしないで下さい。変態」
妹は、無表情で兄に注意する。
兄のいつもの軽口に呆れつつ、安心もする。
冗談が交わせる間は大丈夫なのだ。
普通の兄妹でいられるのだ。
「兄さんの事よろしくお願いしますね」
妹は、兄の周囲に群がる女たちに丁寧に挨拶をする。
人妻。
ロリ。
ツンデレ。
幼馴染み。
巫女。
女教師。
謎の銀髪。
誰かが兄の恋人になってくれれば、さくやが抱える問題はとりあえず解消する。
さくやは、兄の妹でいたかった。
自分の中で日増しに募ってゆく兄への慕情を何とかしたかった。
だがしかし。
兄に強く抱き締められて、さくやは自分の心と兄に嘘をつけなくなってしまう。
そして、妹は兄とキスをした。
○絵 14点(20点満点)
黒髪で非ロリの実妹がメインヒロイン！
買うぜ～超買うぜ～。
予約してから手元に届くその日までHPも体験版も覗かず、一切の情報を遮断して待ちました。
妹・さくやのキャラ紹介だけ見てあとは何もわからない状況でゲームを始めたため、やや大きめの瞳に戸惑いを隠せない私。特に皐月さん。年増なのに目のパチクリ加減が尋常でない。セーラー服を着た皐月さんを見ても何の違和感も生じなかった。美里さん・皐月さん・朱音さん・五郎八さん・銀子さんは見た目だけでは年齢差は感じなかった。
時間とともに移り変わる御奈神村の空気が色彩などによって表現されていて良かったと思った。
可愛い絵、エロい絵、SDな絵、赤いものがほとばしる絵などいろいろあったが、量的に物足りなかった。立ち絵だけで進んでいくシーンが自分には長く感じて、もっとイベントCGで魅せて伝えて欲しかった。
エロゲではよくある手法だと思うのだが、キャラの立ち絵を上下左右させてお辞儀や頷きや首振りを表現するアレが途中から少々目障りになった。銀子さんが小刻みに体を揺らしながら山中を走っているシーンを見たときにはもう…なぜか私は微笑んでいた。
シナリオをクリアしていくと少しずつタイトル画面が変わっていくのが良かった。ラストシーンのあとタイトルへ戻った時に、さくやの幸せすぎて泣きそうな笑顔に会った瞬間、私の目から変な水が溢れてきて参りました。
○文章 8点(10点満点)
全エロゲに標準装備してほしいと思ったフローチャート、これは凄い。自分の居場所がわかりやすいので、攻略したい順にプレイできた。
物語は緊張と緩和によって紡がれるが、長い緩和のあと唐突にやってくる緊張の場面に自分はやや対応に苦しんだ。
天女が受ける非道な仕打ちもいきなりでびっくりしたが、その天女が全滅を決意するところはもっとびっくりした。恨みの対象、広げすぎじゃありませんかと思った。
孝介が各ヒロインと恋人になるのが急というか、見えない何かに押し流されて付き合っているように思えて仕方が無かった。妹のさくやとさくや以外とでは孝介が想いに費やした時間が違いすぎるのと、自分にとってさくや以上に魅力的なヒロインがいなかったためそう感じてしまったのかもしれない。
要となる兄妹の描写なのだが、兄と妹の関係については何も言うことはない。兄をして魔性の妹、略して魔妹(マモウト)に認定されるさくやと、その魔妹のけしからんさに堕落してゆく兄・孝介。初Hへの期待を膨らませつつ避妊具を買うために薬局で鉢合わせする素晴らしい変態兄妹だ。
問題なのは、兄妹に一番介入すべきはずの親の存在があまりに希薄だったこと。
母親は兄妹が幼い頃に亡くなってしまうため、作中で貴重な男性キャラということもあり皆神父の対処に興味を持っていたのだが…何もなくてショックを受けた。皐月さんがその役目を負ってくれたが、冷静すぎる対応は面白みに欠けた。もし仮に、1人暮らしをしてる兄の元に妹が泊まりがけで遊びに行くなんてことになったら速攻で母親が冷たい声で「くれぐれも変なことはしないように」などと電話してくるんじゃないだろうか。釘を刺された兄は襖1枚隔てて小さな寝息をたててる妹に何も出来ないに違いないんじゃないだろうか。自分の子供たちが兄妹同士で性行為に走るかもしれない危険を察知した親は、まず放任しないのではないだろうか。親のひとこと、親の感情というものは子のとってそれはそれは大きいものだと思うのだが。母親が過去に生きる人間としてしか描かれなかったこと、父親が積極的に物語に関与しようとしなかったことは本当に残念だった。いろはもきついことを言ってたわりに兄妹のセックスを容認してしまうし、おかしいですね。禁断の関係を結んでおいてお咎めなしとは。エロゲだから何でも許されると思っていてはいかんですよ。朱音さんが汚物でも見るような蔑んだ眼をこの変態兄妹に向けるそんなシーンがあったらね、僕はもう神ゲーに認定してましたよ、ええ。
秀逸なフローチャートを筆頭に、話の筋道はとてもよくわかる作りだった。過去を掘り起こしていくという、自分には苦手なタイプのシナリオだったのだが、興味を失うことなく最後までプレイできた。だが、感情に訴えるという部分が自分には物足りなく感じた。
○声+音楽 16点(20点満点)
さくやの囁きエロボイスを聞くときは少しボリュームを下げたが、BGMを消すことはなかった。
それぞれのキャラの声に嵌ってしまって聞いてて楽しかった。
特に翔子ちゃん、いろは、沙智子が良かった。
中でも翔子ちゃんの「ジャコスいくの!?」はもうね。永遠にそのままでいてって神に祈りました。
○エロさ 14点(20点満点)
美里さんと2人きりで夜中の学校に忍び込んだのにもかかわらず何のエロイベントも発生しなかったとき、私は悲しかった。
セーラー服を着た皐月さんが主人公を想いながら自慰に耽るとか、皐月さんの口をちんこで塞ぐとか、皐月さんに騎乗位で乗っかられるなんてこともなく、私は悲しかった。
沙智子→翔子ちゃん→美里さん→皐月さん→朱音さん→五郎八→銀子さん→さくやたんの順でエロ行為に及んだが、銀子さんまではちんこが反応してくれなくて、私は悲しかった。
正直いうと、翔子ちゃんと沙智子のエロはあまり見たくなかった。
だが、さくやが偶然兄に胸を揉み揉みされるあたりから状況が変わってきた。
さくやの白いおっぱいが私の心を狂わせていく。
さくやの声が聞こえる。
小さな呻き声だ。
さくやの囁きボイスで股間がムズムズしてしまう。
とても…ハァハァします。
兄のイチモツを頬張るさくやがたまらない。
そのときパンツは純白。
そして股間は大洪水。
んでもって兄チンを咥えたままイッてしまうさくや。
そんでもって口の周りを兄の精液で汚したまま兄にハメハメされてしまうさくや。
さくやのセックス中のエロ顔は本当にやばい。
普段ツンと澄ましてるだけに破壊力が凄まじかった。
だが、褒めるのはここまでだ。
質的には良かったが、全然足りなかった。
せっかく兄妹でセックスできるというのに、回数が少なすぎやしませんか？
体位、コスチューム、場所…もっといろいろやってくれるかと思っていただけに残念極まりないこと甚だしい。
抜きゲばっかやってる私がおかしいのでしょうか？
ええ、おかしいですよ。おかしくて結構ですよ！
◎ヒロインの魅力 17点(20点満点)
さくやのポジショニングが絶妙だ。つかず離れず、孝介がパスを出したい時には必ずベストのところで待っている。
兄が何かしようとすれば、時には見守り、時には共に行動し、兄が発する言葉を待っている。
自身へのセクハラには寛大だが、その矛先が他の女に向けられるとその身に狂気を纏う。
「いい加減にして下さい」と言う、さくやの眼は決して笑っていない。
兄さんは私だけにエロいことをしていればいいんですということなのか。
ことあるごとに兄を変態呼ばわりするさくやだが、同じ血が彼女にも流れていることを忘れてはいけない。妹がエロすぎるのが祟って兄が変態になってしまったとも考えられるわけで、やはり魔妹の称号は相応しいといえよう。
BADENDで兄を残して行けないと下山を固辞したさくやも、兄とのセックスに溺れ退廃して行くさくやも、兄への想いを封印して妹として兄へ笑顔を見せるさくやも、全て兄愛が溢れていて良かった。
その本家・妹さくやに嫉妬の炎を燃やす従妹・翔子ちゃんが1年でものすごく成長してしまった。しにたい。
もう、あの頃の翔子ちゃんは戻ってこないんだと観念した刹那、私の中でひとつの時代が幕を閉じたのであった。
○満足度その他 8点(10点満点)
孝介を兄さんと呼べる世界でただ1人の存在、さくや。
その妹から目を背けず、真っ向から可愛いだの好きだだのエロいだの言ってしまう兄・孝介。
いろはでなくても、この鬱陶しくラブラブで幸せそうなバカップル変態兄妹が近くでイチャイチャしていたら、微笑ましくもありつつ怒りを覚えても仕方ないだろう。
もうね、ゴムですか、何ダースでも買ってラブホでもどこでもやりまくればいいんですよ。
お互いに世界でたった一人の最愛の相手をいつまでも大事に支え合って幸せになって下さい。
じゃなきゃ、承知しないんだからねっっ。
そして僕は、いつか翔子ちゃんを妹にして一緒にジャコス行くんだ・・・