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bakabakamankoさんの微少女の長文感想

ユーザー
bakabakamanko
ゲーム
微少女
ブランド
たぬきそふと
得点
76
参照数
1977

一言コメント

ババアを愛する心に、卒業なんてないんだ…

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

たぬきそふとの主戦は野々原幹氏。
氏の決めダマは低めいっぱいによくコントロールされた綺麗なストレートだ。
以前、私は「娘姉妹」の体験版にて氏と対戦したことがあった。
その時のボールは、アンパイアに「えっ、今のストライク!?」って訊いてしまうほど大変厳しいコースに決められるもので、自分にはとても打てる気がしなかった。
まだまだ素振りが足りないことを痛感した私は、「RUNE」から「たぬきそふと」へと続く少女たちとの勝負をしばし遠ざけることにした。

時が経ち、私は「少交女」にて遂に実戦での氏との対戦に赴くことになった。
情けない話だが、氏のボールがやや高めに上ずってきたという近況を知り、「これなら打てる!」と確信を得たからだった。
また、新球種「実妹」をこの身で体感したいという思いもあった。
結果、私は氏からヒットを打つことが出来た。「実妹」のほかにも、低めに投げ込まれる「ボクっ娘」「ドMツンデレ」に対し自慢のバットでジャストミートすることが出来た。
しかし、「初潮」だけは打ち返すことが出来なかった。
バットに当てることは出来る。だが、前へ飛んでいかないのだ。
「初潮」は他より明らかにボール1個分低い。懸命にバットを出したのだが、私にとって低めギリギリのこの球を捉えることはとうとう叶わなかった。

あの低めを打つにはどうしたらいいのか。
素振りも大事だが、やはり実戦経験を積むことが必須だと考えた私は「微少女」に試合を挑むことにした。
「微少女」にはハルナという保健の先生が厄介なボールとして存在する。体は子供、心は一応大人な変化球だ。
ハルナでスッキリしたら、「姪少女」買うんだ・・・
そんな想いを胸に秘め、私は打席に入ってバットを構えた。
氏が得意とする低めの球を待つ。
とその時、高めの釣りダマが来た。
な、なんだ今のボールは…!?
事前に得た「微少女」の情報には無く「少交女」でも見たことの無い、かなり外し気味の高い球だ。
野々原幹「フフフ、今のタマは…『教頭』だ!!」
私「な、なにィ!?」
野々原幹「キサマにこのタマは打てない!!」
ビシュッ!
バシィッ!!
私「バ、バカな・・・」
氏の言う通りだった。
教頭にバットを出すのだがまるで届かない。
高く外されたボールに私のバットは空を切るばかりだった。
ベンチの皆は「ボール球に手を出すな!」と叫んだ。
私もわかっている、教頭を見逃したところでアンパイアにストライクをコールされることはない。
だが、私はこの高めのクソボールを、教頭を打たねばならんのじゃい!
なぜなら、俺にはこの教頭こそが絶好のホームランボールなんじゃーーーい!!

試合は終わった。
私は完敗を喫した。
教頭という誘いダマに幻惑され、好球であるはずの珠希と京花に対しアジャストできず、外角低めから外に逃げるハルナに翻弄されてしまった。
ベスト4にはまだ早い、ということだったようだ。
「姪少女」への道は険しい。
だが、私のロリ甲子園への闘いは始まったばかりだ──────


そのひとは、紫のアイシャドーと情熱の証の真っ赤な口紅で皮膚を覆い、真珠のネックレスがとてもよく似合っていた。これ見よがしに作られた胸の谷間は眩しく、髪を上げたうなじから芳醇な大人の色香が漂っていた。
学園の教頭を担っているそのひとは年若い新人教員である主人公に猫撫で声で接し、珠希や主人公から「ババァ」と呼ばれ、嫌われていた。
特に主人公は、そのひとの厚い化粧や香水から発せられる濃い匂いで具合が悪くなるほど嫌悪していた。
だが私は、主人公がそのひとを邪険にすればするほど、そのひとに心を惹かれてしまったのだ。年甲斐も無く恥らう姿と若々しさを失いつつある声にときめいてしまったのだ。
だが、だが…
「教頭」という役名だけを与えられたそのひとは限りなくモブキャラに近いサブキャラだった。
悔しさも無念さもあったが、堪えなければならなかった。「微少女」は教頭のようなヒロインが好きな人間を購買対象にしたゲームではないからだ。
作り手にとって教頭とは、メインヒロインを際立たせ、主人公の行動に勢いをつけるための存在でしかなかったのだった。
ローボールヒッターの主人公が教頭に対し、一切の妥協を排して拒否の態度を貫いたことはむしろ潔さすら感じたほどだ。
問題は、作り手が捨て駒的に用意した(と思われる)教頭が、あまりにミリキ的に描かれてしまっていることなのであった。
ミリキ的ってのは魅力的ってことだ。
死語だって復活させちゃうのだ。
こんな素敵なオールドミスは真っ当な熟女ゲーでもなかなかお目にかかれない。
作り手とすれば、自分たちの趣味から1番遠い女性の象徴としてこの年増ちっくな教頭を描いたのかもしれないのだが、それによって完璧に近いババァを生み出してしまったのだとしたらこれは何という矛盾なのだろう。
おそらく、この教頭は「媚びてない」ことに良さがあると思う。
主人公の嫌悪の仕方が過剰に見えないように、なるべく好感度を上げない方向で教頭は描かれている。
むせるほどの香水の匂いを周囲に撒き散らし、厚化粧と無駄にでかい乳をアピールしつつ男に色目を使い、自分より若い同性に嫉妬しヒステリックに喚く余裕の無いパワハラおばさん。
まるで好かれようとしていないその姿が私には逆に無防備で危なっかしく見えて、このひとを守ってあげたい、そして本当の笑顔をもたらしたいと思わずにはいられないのだった。

珠希はち○ぽをたくさん言ってくれて嬉しかった。
京花の誘惑やなだらかな腰のラインはエロかった。
ハルナのジャージ姿にも萌えた。
だが、全てを教頭が凌駕してしまった。
罪なやつさ、ババア。

珠希の10年後や京花の20年後に想いを馳せ、私は半裸のまま夢の世界へ旅立つのだった─────