最後まで終えることで明らかになる、OP最後の「一つの物語は終わりを告げ、過去から未来へ―。物語は“ココ”から始まる―」という文の持つ本当の意味。ここにカタハネという物語の全てがつまっているとも言えるだろう。
―――「一つの物語は終わりを告げ」―――
「私はこの国と――ココの未来を護ろう。それが、このアイン・ロンベルク……最期の役目だ」
「全ての罪は、この私にある」
「Secret Story」にて、"逆賊の汚名"の真相が明かされ、真の終わりを迎える "クロハネ"という物語。
―――「一つの物語は終わりを告げ、過去から未来へ―」―――
そして、唯一過去と未来を繋ぐ“ココ”へと託された願いと記憶、想い達。
「私の代わりに、ココ…… 姫を……護ってあげてくれ」
「では、ココ。私の代わりに、姫君たちを護ってくれよ」
「ずっと、あなたと一緒です」
過去から未来へ―、長き時を経て受け継がれた記憶と想い。
「……ココ。あなた、ほんとうに、大変、だったの、ね……」
「……これって、私がもらうべきモノだったんだなぁー、って」
「本当に……ありがとう」
(――いきましょう、エファ)
―――「一つの物語は終わりを告げ、過去から未来へ―。物語は“ココ”から始まる―」―――
そして、運命と必然に導かれ、出会い、そして“ここ”に集った登場人物たちにより上演される「天使の導き」。
「……わたくしは。そなたと共に生きたい」
(この気持ちは、ベルと――その中に眠るエファに)
「……ワタシも姫様のおそばに」
「……シュエスタ、共に行きましょう」
(過去は取り戻せなくとも、未来はある)
(……クリスティナ・ドルンも、エファも。心は、すべて――ここにあるのだ)
――Memories are here.――
最後にアインの本当のお墓を前に、ココの台詞にて、果たされた約束と
クロハネ編ではかけることの出来なかったココからアインへのお別れの言葉。
「……あのね、ボク、アインとのやくそく、まもりました」
「ヒメサマとエファ、ちゃんとまもりました」
「アーイーンー。……バイ、バイ」
“ココ”においてクロハネ編の登場人物たちの想いは昇華され、
シロハネ編の登場人物たちの本当の物語は“ココ”から始まるのだろう。
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高尚なテーマを掲げるわけでもなく、手に汗握るような派手な展開に溢れるわけでもありません。
それでも、とても綺麗で、心に残る作品でした。
個人的に傑作と判断する基準のひとつに、その物語が終わったあとの
登場人物ひとりひとりの未来に想いを馳せられるかどうかというのがあります。
その意味で、この「カタハネ」という作品は、綺麗に一つの物語を終わらせておきながら
彼ら、彼女らの「“ココ”から始まる物語」に想いを馳せずにはいられない、
そんな自分の中での最高傑作のひとつになりました。