悪いとも言えず、良いとも言えないそんなちょっと残念な作品。
数分だけプレイをしてみて感じたものは、唐突な始まり方でプレイヤーが置いてけぼりを食らうストーリー。
中途半端な読み辛いテキスト。
テキストに反して魅力的なヒロイン達(但し、毒舌が多すぎて時々不愉快になります)
つかみ所が分からない主人公。
というこの四つ。
これだけ見れば残念な作品に見えますが、実はそうでもありません。
ストーリーに関しては基本的に学園恋愛もので、学生時代を彷彿とさせるシーンが細かく散りばめられており懐かしい気分にさせてくれます。
言葉遊びがあったり、ちょっとした何気ない行動が伏線だったりとその点は高評価。
ただ、残念なのはこのライターの文章構成力。
語彙力はあるのですが何せ文章が読み辛いです。
更にこのゲームにはザッピングがあるのですが、視点の移り変わりが分かりにくいのも文章を読み辛くしている原因の一つです。
「あれ?いつの間にヒロイン視点に?」となっていることが度々あります。
また文章が読み辛いせいか、コメディ展開もテンポを崩し、プレイヤーを笑いではなく苦笑いに導いています。
勿論笑いを誘うシーンもありますが、こけていたほうが多い印象を受けました。
ただ、安心して頂きたいのはコメディが詰まらなく感じるのは「共通ルート」のみだということ。
「もうお前狙ってるんじゃね?」と問いかけたくなるぐらいに、ヒロインの個別ルートに入れば、いきなりコメディのテンポがよくなります(ライターが変わっているからだとは思うのですが)
また最初に述べていたように、このゲームはプロローグにあたる部分でプレイヤーが置いてけぼりを食らいます。
庭に宮殿があると主人公が騒ぎ。
ヒロインが登場してきたと思えば、理不尽な暴言を吐かれ。
ちょっと手を振っただけで衝撃波を発する別のヒロインが登場。
その後、突如としてメイドが現われ。
主人公の「日常を返せ」宣言。
唖然です。
書き物の工夫の一つとして、始まりの部分を後ろに持ってくるというものはありますが、説明がない。
故に置いていかれる。
いえ、プレイヤーが置いていかれないよう主人公が現状を説明はしてくれます。
ですが明らかに説明が不十分。
もう序盤は想像で設定を埋めるしかありません。
ですが逆に言えばこのゲームは「序盤を超えることさえ出来れば」テキストと設定に慣れ始めるので、スラスラと読んでいけるようになる筈です。
後はヒロイン二名からの理不尽な暴言を耐えれば完走です。
ルートにさえ入ることが出来れば、いきなり可愛くなります。
それまで耐えましょう。
またエンディングについてなのですが、ルートによって差があります。
唐突に終わるルートもあれば、理想の終わり方をしてくれるルートもあります
ちょっとそこらへんも残念に感じましたね。
まぁ、これもライターのせいなのでしょうが。
主人公を取り巻く登場人物達は、基本的に魅力的な人物が多いので惹きつけられることだと思います。
また主人公も、最初こそつかみ所はありませんが、後々愛着が湧き、カッコイイ一面を見せることが多くなってきます。
プレイヤーの望んでいることをしてくれたりする素敵な主人公様です。
ただ、ヒロインに単純なツンデレを望んでいる人は注意してください。
先程も書きましたが、ツンデレキャラはルートに入るまで殆どがツンツンで、デレるタイミングが僅かしかありません。
ツン→デレ→ツン→デレと順番に来るツンデレを望んでいるのなら、回避推奨です。
総評しますと、CGが綺麗で登場人物達がしっかりしている分、テキストが読み辛い。
読んでいけば慣れるけど、途中からヒロインの暴言が辛くなる。
個別ルートにさえ入ればこちらの勝利。
そんな作品です。