ヒロインのアタマからネジを外す本数が足りない! 外す場所が違う!
あるとは別にして、まじぷり~秋色の流れを考えると、各ヒロインにもう少しクセがあった方が良かったように思える。たとえその結果、好き嫌いが大きく分かれることに繋がろうとも、無難な方向に振ったヒロインを取りそろえるのに比べれば魅力を引き出せるだろうし、その方が「らしい」。また、最もネジが外れているであろうゆめの性格も、読み手によっては嫌悪感を覚えそうで、もっと違うネジの外し方はあったのではないだろうか。
シナリオは、多少置いてけぼりを食らったり、整合性が微妙だったりという点はあるものの、失礼ながら元々大層なものは期待していないので「こんなもの」かと。魔法少女がステッキ持って大活躍、的なものを想定していると期待ハズレだが、まったり学園モノで舞台がたまたま魔法世界だった、くらいの感覚で入れば悪くない。パープルの作品は主に夕方~夜やHシーンに使われる曲にゆったりした良いものが多く、今作もほどよくまったり感を後押し。ちょっとニヤっとできたり、ちょっと暖かくなる話がちらほら、という程度の進行は人によっては退屈だろうが、退屈耐性の高い自分としてはさほど問題なく楽しめた。ただ、これはクリア順でゆめを最後に回した影響もありそう。もしゆめを先にやってしまうと、その先が気になって他のシナリオの「まったり」をまったりとは楽しめなくなる、という構成は足を引っ張る可能性もある。
システムは秋色謳華に続くワイド画面、というだけでなく、中身も変わって凝った演出。個別ルートに入って「二人の世界」ばかりなら4:3の方が良さそうだが、今作は各ヒロインが他のヒロインルートでも関わってくることが多く、同じ場面に複数の人物が多々登場することでワイド画面をしっかりと活かしきっている。場面によっては遠近感その他微妙だったり、画面を動かしすぎと思えるところもあるものの、このあたりは慣れを見込める次作以降に期待。あるとのときにも書いたが、こういった手を抜こうと思えば抜けるところ、工夫しなくても作品としては成り立ってしまうところにわざわざ手間暇をかける姿勢は今後も是非続けて欲しい。