ストレスレスな展開を意識して作られた、イチャラブゲーの規範とすべき作品
陽姫ルートで、親による恋愛への介入で何の面白味もないシリアスが始まりそうになった時、思わず舌打ちしそうになった。
そんな不安を他所に、
陽姫「じゃあ家出て自活するわ」(意訳)
ノータイムでその切り返し格好良すぎィ!
面倒事を読者の不安もろともブチ壊すその破天荒な生き様、御見逸れしました。
もうロリコンでいいや。
といった塩梅で、作中のシリアスムードは、基本的にコメディチックな展開で粉砕していくスタイル。
聖良ルートでは陽姫ルート同様に親による恋愛への介入が入るものの、
そこで当事者同士がああだこうだと苦悩して引き伸ばすのではなく、
サクッと解決に向けて行動してしまうため、読後感は非常に爽やか。
物語の起伏はきちんと設けつつも、読者がストレスに感じるであろう展開を極力排除した点はイチャラブゲーとして太鼓判を押したい。
ただ、その代償として主人公が万能な人間として描かれてしまったのはマイナス。
武道の心得だけでなく、会則の穴を突く発想力と思考力、失敗を恐れぬ行動力すら持ち合わせており、
問題が発生したらとりあえず主人公に任せておけばオッケーな状態に。
そのため、壁を乗り越えるために努力するヒロインの掘り下げが少し足りなかったかなぁと。
(まあ聖良に関しては対等な存在として描かれていたため例外ではあるし、イチャラブ要素に関しては何の不満も無いが)
あと、詳細は省くが、疑似デート展開はエロゲワーストイベントTOP5に入るほど嫌いなので、あれは全くもって要らなかった。
中身のないデートほど退屈なものはない。
他にも学園のモブキャラがあまりに都合の良い存在になっていた点や、ゆづきとの恋人前後の距離感に対する違和感など、いくつか不満点はあるものの総合的に見れば良作だった。
読者が必要としていない意義の薄いシリアスをぶち込みたがるブランドには、是非本作の爪の垢を煎じて飲んで貰いたい。