キャラ、音楽、世界観などは素晴らしいの一言。ただシナリオが全てを台無しにした。
観光ゲーとはよく言ったものです。
少し出歩けば土地柄など逐一説明される。情報量の暴力。
なるほど、これを世界観の形成と考えればアリなのかもしれません。
確かに世界観の描写自体は秀逸でしたし、BGMの使用も適材適所で良かったと思います。
しかしその設定が一人歩きしていて、後のシナリオに活かされているようには感じられなかった。
その重厚な世界観に追随する展開がなければただの観光ゲーと言われても致し方ないかと。
個別シナリオですが、祥那以外のルートがどれも酷似した展開というのは頂けない。
決して死亡エンド自体を忌避してるわけではありませんが、ライターの描く「不幸な結末」がワンパターンに過ぎます。
ライターにとって不幸と死亡はイコールなのでしょうか?
2周目以降は「悲しいな」という陳腐な感想すら抱くことはなく、キャラだけ挿げ替えたCG回収作業。
もっと辛辣に言ってしまうと、手抜きだとすら感じます。
ただ、ヒロインのレベルは非常に高水準。
私はあまり後輩キャラに惹かれる事は無いのですが、愛莉とか珍しくくっそ可愛く、予想外に悶えさせてくれました。
なんか薄幸感を醸し出していてもの凄く庇護欲を掻き立てられましたし、立ち絵・挙動・言動、何をとってもとにかく可愛い。
迪希は前評判が酷いものだったので警戒していたのですが、いざ蓋を開けてみると普通に好感触でしたし。
シナリオゲーを求めて買ったはずが、気付けばイチャイチャさせてくれるキャラゲーを求めていた。
キャラ、音楽、世界観は水準以上だったので、惜しい作品。
たとえ後半が平々凡々だったり奇々怪々だったりする展開だろうと、手抜きと感じさせる作りでなければ70点台には達していたと思います。