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astroさんのeden* They were only two, on the planet.の長文感想

ユーザー
astro
ゲーム
eden* They were only two, on the planet.
ブランド
minori
得点
86
参照数
1305

一言コメント

大泣きはしないが、最後にほろりとくる秀作。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

地球に破滅が齎されると予見された世界。
人々は滅亡することを避けるため、違う惑星への移住を決意します。
それから100年後、まさに移住計画が完遂されようとしている頃。
その計画の中心人物であるシオンと、彼女の護衛に就いた主人公の、地球最後の恋愛劇です。

以下ネタバレ









世界観は、上記のとおり滅亡寸前の地球が舞台です。
主人公とシオンの二人は地球に残るか人々と共に宇宙に旅立っていくかの究極の選択を迫られ…という、
よく言えば一定の感動が約束された、悪く言えば新鮮味のないシナリオです。
ただ、ライターの鏡遊さんの独特の雰囲気と洗練された演出のおかげで特に気になりませんでした。

時系列的に言えば、研究所から脱走し、主人公の故郷である山に戻ってきた直後の生活から物語はスタートします。
そこから現在までの回想をし、その後の物語が開幕するという点では、efと同じ表現方法です。
前半はシオンとの出会いから脱走までを、後半は究極の選択を迫られた二人の葛藤を描いています。
もう少しシオンとの日常的なほのぼのしたシーンが欲しかったところですが、シナリオの主軸はしっかりしていたので楽しめました。
最後はストーリーが読めていても涙腺が緩みました。


ただ、いくつか不満点はありました。

赤い星の正体について作中で殆ど触れられず、結局「破滅の象徴」ということしかわかりませんでした。
もう少し何なのかを説明する部分が欲しいところです。
まあ本作に登場する誰もがその星について何もわからなかったということを考慮すれば、
謎のまま残しておくのが一番良かったかなとも思いますが。

あとは移民計画に関して肯定派と少数の否定派がおり、特に否定派は過激であることが本作でも語られていましたが、
その否定派による騒動や暴動がほとんど表現されていなかったのでやや緊迫感に欠けた印象を持ちました。
反乱分子が護衛部隊にスパイとして潜り込んでいましたが、アクションを起こす間もなく葬られたので少し拍子抜けでした。
もう少し軍と反対派の出来事について掘り下げた方がいいかなと感じました。


まあその不満点を差し置いても十分に秀作レベルです。
絵やムービーは当然美しいの一言ですし、BGMも適材適所でばっちりでした。
登場するキャラクターも魅力的で、特にシオンが可愛すぎでした。(ぶっちゃけefと被ってるとも感じましたがw)

女の子といちゃいちゃしたい人には向いていませんが、良い話にありつきたいという方には勧められる作品だと思います。



追記
「eden*」というタイトルは、eden(=楽園) + *(=star(星))と解釈すると、
edenを地球、starを赤い星と見立てて、赤い星に照らされる楽園を表現してるんでしょうか。
それとも星のように輝く楽園を表現してるのかな?