皆が主人公のことを慕い、いかなる時でも主人公の味方をする。こんな友達に囲まれてみたかったですね、優しい世界に浸れる作品です。
この作品が出た当時は色々と騒ぎがあったらしく、それらを見る限り自分も新作で買っていたなら評価を下げざるを得なかっただろうなと思うほど未完成なものでした。また、瑠璃√に関しては未だに音沙汰がないですしね。しかしながら私は発売から大分経ってからプレイしたため、瑠璃√がないのは残念で仕方ありませんが、他はまあ不満がありつつも楽しむことができたかなと思います。
良かったのは共通部分の皆で作り上げるやさしく楽しい雰囲気及び掛け合いと絵里香√ですね。良く絡んでくる人懐っこい性格をした絵里香に、おっとりしているが意外と腹黒な瑠璃、真面目なクラス委員長でいつもツッコミ役にまわるあざみん、いじられ役又は話のオチに使われたりする俊也、冷静かつ狡猾だが気を使う場面が多くみられる純一、そして主人公。この六人の掛け合いが見ていてとてもおもしろく、和むんですよね。六人全員揃わなくても、女子三人+主人公であったり、男三人といったパターンでも十分おもしろいです。前者の場合はどっちみち六人全員に話が伝わるので、その後の反応みたいなものが見れますし、後者はルームメイトという設定を活かした男友達だからこそ話せる悩みからくだらないことなどが見れて、これまた違った良さがありました。基本的に皆主人公の味方で、相手が正論を言っていても、主人公の気持ちを尊重しようとします。相手からしたら厄介なことこの上ありませんが、友達という関係をいかに大事にしているかが伝わってきます。優しい世界なんですよね、本当に。
絵里香√に関しては、絵里香が好きということもありとても満足のいくものでした。主人公のことをからかう良き女友達というポジションでありながら、付き合うことになった時には友達という関係から急変するのではなく、主人公と共に徐々に徐々に愛を紡いでいく。女友達からの恋人派生というのはいつ見ても素晴らしいです。特に積極的な女友達とぶっきらぼうな主人公という組み合わせが私好みなため、この√の二人の掛け合いはドンピシャでした。いつも明るい絵里香が落ち込んでいる時に限って主人公がサラッとカッコいいことを言う。これがまたキザなんですけどカッコいいんです、そりゃあ絵里香ちゃんも落ちますよ。また、ライターさんは相変わらず過去の出来事について掘り下げようとしないのですが、それが不要だと分かっているんでしょうね、最後まで淀みなく綺麗なお話でした。
不満は大きく分けて二つ、絵里香以外の個別√の出来と、やはり瑠璃√がなかったことですね。瑠璃√の件に関してはただ単に残念だなと思うのですが、絵里香√以外の個別√の出来が悪く、どのキャラも魅力的だっただけに勿体無かったと思います。付き合う経緯が雑だったり、終わり方がポカーンとするものばかりでした。
ただ、やはり共通部分の雰囲気の良さだったり、絵里香√の出来などを見る限り、この作品を楽しめたのは間違いないです。