ランス過去作を知ってからプレイするとこんな感覚なのかと、再プレイしてようやくこの作品の全てを味わうことができた。ファンにそれとなく喜びを与えてくれる素敵な作品。
私の初ランスはこの作品だった。当時もSLG自体はかなり楽しんでいて、プレイ時間が三桁に迫るほど堪能させていただいたのだが少し弱さも感じた。その弱さはシナリオのことで特に正史ルートをやった時なんかはなんだかあっさりしている、悪く言ってしまえば呆気ないと感じたのだ。しかし過去作を知っていると世界が一気に変わった。
わかりやすいのが援軍の存在。当時はゼスやリーザスの援軍と聞いても全然ピンとこないし、なんか強そうな助っ人が来たなぁくらいにしか思わなかった。片方の援軍全然使えないし…とかね。でもそんなところもその国らしくていいなと今は思うのだ。赤い死神が来てくれれば話は別なのだが。
援軍の中で最も胸に来たのはやはりウルザになるかなと。かつては立ち上がることすら出来なかった彼女が今は最も頼りになる仲間になっている。その事実にひたすら感動してしまう。彼女が前作と同様、高性能なのは彼女の成長を実感してほしいという作り手の思いなのかもしれない。好感度を上げた際に発する台詞があまりにも自己紹介すぎる。
ランスと一緒に花火を見るシーンはかなり好きで、会話から感じられる二人の絶妙な距離感もたまらないのだが普段、戦いの中で炎を見ている彼らだからこそ映えるシーンだと思う。桜や花火を背景に使い日本らしさを演出している、本当に素敵な作品だ。
また、過去作をやっているとシィルに対する思い入れも増し増しの増しになっているので終盤の悲壮感も半端なものではない。彼女の姿を見ても辛いが、それ以上にゲーム進行中にどんどん満足度が下がっていくランスが見ていて辛い。奴隷、奴隷と言いながらもやっぱり彼にとってシィルという女の子は大切な存在なのだと。Ⅳの時とリンクしてしまい涙が止まらなくなってしまった。
「…なんとか…なる...。なるに決まっているだろ」
いつもは物怖じせずに言葉を発するランスがこんな状態なのだ。胸が締め付けられないわけがない。
そして、鬼畜王との関連性。ゲームシステムが似ているのも嬉しいがBGMがアレンジなのが最高だ。メガラスでハイスピードを打ち続けていたあの時を思い出す。リアルタイムでずっとランスシリーズを追い続けてき多世代なんかは卒倒してしまうんじゃないかと。そんな世代が羨ましくて羨ましくてしょうがない。
最も衝撃的だったのが五十六ルートの存在。鬼畜王が正史の作品ではなくて、このルートも正史のものではない。IF同士だからこその繋がりを発見してしまった時の驚きよ。深呼吸して息を整えないと悶え死んでいたかもしれない。前々からずっと好きな話だったが今回の気付きを得てより一層好きになってしまった。
改めてこの作品はよく出来ているなぁと。「過去作を知っていないと楽しめない」のではなく、「過去作を知っているとより楽しめる」。その自然な作りからは制作陣の愛が感じられる。本当に再プレイしてよかった。