一つ一つの話はやや短めであり、ものによっては登場人物のイメージを最後まで掴めず、ふわふわとしたまま終わっていたりもした。しかしながら迎える結末自体は綺麗にまとまっており、数もそれなりにあるにもかかわらず所謂「ハズレ」と感じるものも少なかった。
登場人物の中では黒鷹が好きだったのもあり、結末としては「春告げの鳥」、「てのひらの先に」辺りが好み。 特に春告げの鳥に関しては黒鷹の立場、心情を考えながら読むと自然と涙が出てきてしまう。 あの苦さが実に良いのだ。