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asteryukariさんのグリーングリーン2 恋のスペシャルサマーの長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
グリーングリーン2 恋のスペシャルサマー
ブランド
GROOVER
得点
70
参照数
159

一言コメント

前作と比べると登場人物が薄く、話も設定を持て余しているようなものが多い。しかしながら廃校関連の話は中々良くて、胸に響く場面も存在したり。続きモノとしてはそこそこの出来。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

前作から主要メンバーが大きく変わり、新一年生がメインで物語が進行していく事になった。正直な感想としては笑いのキレが落ちたなと。三年生達と同じように男同士集まってくだらない作戦や下ネタトークはするものの、どこかぎこちない。これは恐らく「仲良くなりたて」だからだろう。

後半の廃校が発表される時でようやく半年の付き合い。それを意識した上で読んでみると、意見が合わず度々揉めるシーンなんかにも納得がいく。ひまわり√で見られたヘルスと主人公との喧嘩も初見の際は不快感しかなかったが、出来上がったばかりの関係を描くという意味では必要であったと今は思う。

また、三年組もきちんと出番があって、序盤はただ一年をいびるだけの存在だが、終盤はそこそこ活躍してくれる。特に前作の主人公だった祐介はEXTRAのみどり√大活躍。「自分にとって鐘ノ音はどのようなモノであるか」、それを語るシーンは必見。

みどり√自体はあまり評価していないが、この√における祐介の存在は目を見張るものがある。そりゃあ、ヒロイン達からモテモテなわけだ。本当に、本作のクソガキとは天と地ほどの差がある。

そう、今作の何に問題があったのか、それは主要メンバーの変更などではない。主人公にある。精神的に未熟な点も中々厄介だが、それ以上に設定が足を引っ張っていた。みどりと関連付けるためにあの設定をつけたのだろうが、プラスに作用した瞬間なんてほとんどなかった。途中まではいい感じなのに毎回あれのせいでハッピーエンドにはならない。かといってビターエンドの良さを感じるわけでもない、中途半端な結末を迎えてしまっていた。

唯一良かったのは美夏√で、締め方が綺麗だったは勿論、廃校問題の解決の仕方も一番しっくり来た。総長に対して特別な思い入れはなかったが、それでも流れ自体は結構好み。彼等も鐘ノ音の生徒なのだということがはっきり伝わってきた。

加えて轟の土下座。他√でも生徒達へ対する想いは打ち明けていたが、この√ではまさかの理事長に土下座。自分の給料何ていくら削っても良い、いっそタダ働きでもいい。だからどうか彼等の卒業まで待ってほしいと、あのガミガミうるさかった轟が必死に訴えるのだ。それを見て心が動かない者はいないだろう。彼に対してそんなに良い印象を持っていなかった私ですら少し涙が出そうになった。

振り返ってみるとやはり美夏√だけは前作と比べても上をいくのではないかと思う。次はいよいよ卒業編ということで、大きな期待を抱いている。三年生達がどういった道に進むのか、また廃校問題はどうなるのか、気になって仕方がない。