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asteryukariさんのRanceVI -ゼス崩壊-の長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
RanceVI -ゼス崩壊-
ブランド
ALICESOFT
得点
88
参照数
245

一言コメント

先に進むにつれてぐんぐん面白くなっていく物語にただただ圧倒された。攻める時はとことん攻め、時に笑いで場を和ませる。本当にランスの性格と話が絶妙に合っている。そして本作登場の彼が今後どう動くのか気になって仕方ない。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

操作に慣れなかったり、玉集めが大変だったりで序盤はこのままやっていけるのかなぁなんて漠然とした不安が目の前に広がっていた。今思い返すとそんなことで???と言いたくもなる。まあ慣れたらもうこっちのものだ。玉集めは鷲玉こそ手に入りにくいが他は数十秒で手に入ったりするためそんなに苦じゃない。

戦闘の難易度も丁度…良くはないかな…。もう終始その辺のモンスターが強敵だった。本当にお前そんな見た目しているくせになんなんだその強さは…はと言いたくなる敵ばかりで、なんだかんだボスよりその辺モンスターに殺された回数の方が多いかもしれない。特に白いあいつには散々ボコられた。絶対に許さない。

ボスもまあ強い奴らばかりで度々苦戦した。Zガーディアン、終盤の魔物たちとの総力戦、マジノライン…本当に負けイベントかと思うくらい辛い戦いだった。そしてそんな戦いでいつも我々を勝利に導いてくれたのがカロちゃん。というかこの娘を使わないでこの作品をクリアすることは不可能だろう。

敵が麻痺しないと始まらない毒針に、タイムアップまで耐え忍ぶための硬質化。どちらも必須だった。本当に毎回のようにカロに祈りを捧げていたし、カロもそんな私を見てさぞ困惑したことだろう。祈りを捧げる回数が多いという意味でも最も苦労したのは魔物たちとの総力戦なのかなと。連戦というのがあまりにも辛すぎる。

また、強敵といえば忘れてはいけないのが使徒アニスちゃん。アベルトは別に忘れても良い。もう彼女の黒色破壊光線に怯えずに済むのだと思うとなんだかホッとする。本当に最後まで人騒がせなやつだった。挑戦モードなのでクリアしなくてもと思う方もいるかもしれないが、全ての元凶である彼を倒すことで本作はようやくゴールに辿り着けるのかなと。まあその先に最後の難関「とぅるぅえんど」が待っているわけだが。タマネギくん、本当に面倒だったよ...。

物語の内容に少し触れたのでそちらについても語っていくが…とにかく読めば読むほど面白かった。牢屋暮らしの生活から始まって、文字通り這い上がっていく様は見ていて楽しかった。リーダーはウルザながら裏で動いているのはランスという構図がかなり好みだったからだろうか。思い返してみると思考だけでなく、こういったところもランスとアベルトは関連性があるなと。本当にアベルトはランスを気に入っているんだなぁ。

そして、お人形だったウルザが立ち上がってからは物語が更に面白くなるから困る。一時は崩壊しかけたゼスという国が一つになって魔物たちと戦う。その熱さと言ったら…。そして、リーザスからの援軍が来るところでもう声を挙げてしまった。リックが来てくれて戦力的に嬉しいのもあったが笑。レベリング及びかかかカミーラさん戦までお世話になった。

そんな熱い展開だけでなく局所に笑いも取り入れてくるからこの作品は凄まじい。ジークのくだりなんかはずっと笑っていた。真面目過ぎるジークと外道過ぎるランス、この二人が相見えて面白くならないわけがない。ただ、ジークの魔血魂がアベルトので上書きされるのは少し悲しかったかな。今後も再登場してほしかった...。

そんな感じでメインの話は大満足だったわけだが、同時に各々のキャラクターのサイドストーリーも面白かった。特に志津香のお話は仇であるラガールを討ち取れたという点と、ナギとの関係が明らかになった点がとても良い。鬼畜王をプレイ済みだと今後どうなるにしろ二人が生存していてくれたという事実が嬉しくて仕方ない。いつかは姉妹らしいやりとりが見られるのかな…。

また、気になったのが一言感想にも書いた「彼」の存在。彼というのはずばりダークランスくんのことだ。彼の話を聞いてまず思ったのはあまりにもフェリスが可哀想すぎるなと。これまでのシリーズでも散々な扱いだったが、やはり5Dはやり過ぎだったみたいだ…。あの時のランスが最も鬼畜だったのではないだろうか。

人間の子を産んでしまった罪で魔物たちから苗床にされている彼女は見ていてただただ辛い。いつもなんやかんやランスに意見してくる彼女が言葉も発せないくらいに衰弱している。そりゃあ息子もランスを殺しに行くわな。これまでは不憫キャラでいてほしいなんてふざけた思いを抱いていたが、今は心の底から彼女の精神の回復及び幸せを願っている。そしてダークランスくんにはこれからも母親を守っていってほしい。

これから二人がどんな母と息子のストーリーを見せてくれるのか、楽しみでもあり不安でもあるが納得のいく結末を迎えてほしいものだ。

メインの話は面白くて、サブの話は先が気になる。こんなの次も、またその次もな感じでそのまま最後までいってしまうに決まっている。このシリーズは改めてユーザーの心を掴むのが上手だなと。リーザスからの援軍が来たというだけであんなに興奮したのだ。そこにJAPAN、ヘルマンが加わったらどうなってしまうのか…。