やりたい事をやり続け、最後には満足げな表情を浮かべる。そんな主人公を見て、「ああ、この作品をプレイして良かったな」と思った。
突然、人を操る能力を手に入れた主人公が何をするか。それは勿論、私達ユーザーが望んでいることだった。序盤は陵辱描写ばかりが目立つ作品だが、他の能力者が現れた辺りから流れが変わる。戦闘自体は相手の額に糸を通すだけという至ってシンプルなもの。でもそこに至るまでの心理戦が本当に面白い。能力差で勝利を確信した相手の表情に焦りが浮かんでいく光景が堪らない。
基本的に勝利後は女どもを奴隷にしていくわけだが、その後の調教にも抜かりがないのが良い。ただ陵辱し、従わせるのではなく相手の心を揺さぶり、逃げ場を失くす。そして相手に自身の奴隷であることを認めさせる。それが非常に気持ちいい。主人公のルックスが良い点も大いにプラス要素になっていて、その二枚にも三枚にも重ねられた仕掛けに堕ちていく茜を見て笑みが零れた。
本作のメインヒロインは誰かと問われると、それは茜になるだろうなと。初めてをやたら意識していたり、妹想いだったりとそれだけでも魅力的な女の子。しかし本領発揮はTRUEルートからだったわけだ。
TRUEにて見られる彼女の独白からは、これまでの彼女と共に、彼女が何を思って生きていたかがわかる。誰よりも優しくて弱弱しい女の子なのだと、それがわかった上でのあの展開はあまりにも胸に来た。全ての戦いが終わり、言い方は相変わらずだけれど、以前にも増して主人公の事を想っている彼女を見て安心した。
またTRUEでは戦闘がメインになっていて、これまで以上に熱い戦いが待っていた。この戦いの何が熱いって、単純に圧倒的な実力差からの逆転劇もいいのだが、主人公が己を振り返る場面。子供の頃から何でも出来て、しかしだからこそ面白味がない。彼はいつの間に自身に仮面をつけていたわけだ。そんな仮面を砕くきっかけがこの能力との出会いだったのだと。
本気になってからはもう...最高の一言だ。「自分は絶対に負けない」という気迫がこれでもかと伝わってきて、気持ちいい状態がどんどん続いていく。やっぱり最強主人公はいいなぁとうっとりしてしまった。
意思についての詳細な話がなかったり、研究所の存在もさらっと語られただけであったが、この作品が描きたかったのは能力を通じた主人公の成長なのかなと。生きることに面白みを感じていなかった主人公が、「本当にやりたい事」に出会い、心を見たし満足する。目に新しい景色が映るようになった主人公を見て物凄く満たされた。
「俺は、俺のやりたい事をやりだけだ」
この台詞はこの作品を象徴する言葉であり、しばらくは頭に残り続けることだろうと思う。本当に最初から最後までかっこいい主人公であった。