前作に引き続き主人公及びその周りが好印象なキャラクターばかりで、日常の一コマ一コマに価値がある。未だ話は動かないが、それでも追い続けたい。そう思わせてくれる作品だった。
タイトル画面を見てわかる通り、今回のメインは礼梅さんとの初々しい日常劇である。礼梅さんとのデートを通じてお互いのことを理解し、これまで以上に仲良くなっていく。お互いのことを理解するという点がポイントで、ただイチャイチャして親しくなっていくのではなく、礼海の考え方や価値観が徐々に露になっていくのがいいなと。印象深いのは水族館からの帰りの会話。
「私のは、荘奉さんと違って自分のための“人助け”なんです」
相手の反応を期待せず人助けをする荘奉に対して、微妙に引け目を感じていた彼女。そんな彼女を見てすごくいい子なんだなと思ったし、より一層惹かれた。見返りを求めない人助けなんてできる方がレアだろう。
荘奉の反応も悪くなくて、しっかりとモテ男の回答をしてくれたなと思う。つい早く付き合っちゃえよ!と言いたくなったが、この絶妙な関係性のまま徐々に距離を詰めていってほしいとも思う。その辺を次作に期待したい。
また、礼梅以外との交流風景も相変わらず魅力的で、今のところ駄目神様なすずとの掛け合いは勿論のこと、花梨サイドとの会話劇もまた面白い。美人で頭がおかしくて物静かではない人ことメイドの露乃さんが本当に自分好みのキャラクターで、これからもっと出番が欲しいと思ってしまうほど。お嬢様を主人公から守る系メイドではなく、お嬢様を主人公に売りまくる系メイドなのがおもしろい。…にしても花梨ちゃんの恋も応援したくなってしまうから困る。
といった具合で相変わらず愉快なキャラクターであふれた一作に仕上がっていた。まだ話は動き出していないが、次作で動き出す感じなのだろう。最後の不穏なやりとりが大変気になる。変にシリアスをぶち込みすぎないといいが。何はともあれ次作も期待しています。