前編ということもあり、面白くなってきたところで幕が下りるが、後編もやってみたいと思える内容だった。また、ちゃんと読み手も守りたくなるくらいメインヒロインが愛らしく描かれていたのが良かったなと。
タイトル画面の時点で既にちょっと良い作品の予感がしていて、物語を読み始めると本当に可愛い女の子しか出てこないので困った。中盤にかけては普通の学園モノといった感じで、会話に面白さはあまり感じなかったものの、基本に忠実だったかなと思う。友人キャラがいるのも嬉しい。
序盤から千早ちゃんへの好感度が高く、故に彼女のルートはサブだと気付いた時は少なからずショックを受けたが、羽椛ちゃんルートを進めていくと少しずつ納得していった。羽椛ちゃんはビジュアルもさることながら、中身も愛らしい。まさに守ってあげたくなるタイプの女の子で、本作のメインヒロインに相応しかったのだ。彼女を支えようとする主人公の気持ちがよくわかる。
シナリオについて触れると終盤、彼女と主人公の不思議な関係性が明らかになり、彼女を救う為に世界線を転移するという大きい話になっていくわけだが、ここは少し引っかかったというのが正直なところ。青春欠陥症の設定も気になるが、一番気になったのはテンポが良すぎる点。主人公がどうにかして奇跡を起こすであろうことはわかっていたが、あんなパッと奇跡を起こす道具を用意されると間抜けな声が出てしまう。
吉塚先生は作中でも一二を争う程に好きなキャラクターであり、そんな彼女が有能であること自体は嬉しいのだが、少し不自然かなぁと。叶うことなら主人公も何かしらの形で事前に装置と関わりを持ってほしかった。
ただまあ、その後の仲間達に見送られながら旅立つの事態は王道で良かったと思うので、後編も勿論購入する気はあるし、楽しみでもある。欲を言えば羽椛ちゃんを救ってハッピーエンドではなく、先の装置や青春欠陥症をもう少し深掘りするなどして丁寧に仕上げてほしいかなと。過去作と比べるとだいぶ好印象だったので、期待している。