スピーディな展開のわりに恋愛部分はそこそこ丁寧にやってくれた印象。ただ、どちらのヒロインに対しても好感度が高まる瞬間がなかったので、もう少しヒロインの魅力を引き出してほしかったというのが本音。
自身が日本一の巨大企業の御曹司だと知らされた主人公が、後を継ぐため二人のどちらかに伴侶になってほしいとお願いするところから物語はスタートする。なんてふざけた導入だ、クソ主人公じゃないかと、読み始めて早々に怒りのボルテージが上がった。
ただ、ヒロインを選んだあとは手を繋ぐところから始まり、そこから恋人として徐々にステップアップしていくので、恋愛モノとしてはそこそこ読める。タイトル名がタイトル名なので、選んだら即えっちでいちゃいちゃして即えっちして…と続くのではないかと考えていたので、ここについては予想に反して良かった部分になるかなと。祝は特にそう感じる。
気になって点が二つあって、一つは幼なじみらしいストーリーが薄い点。「幼なじみとひたすら恋とエッチして嫁にするADV」と謳っているからには、しっかりと幼なじみらしさを感じるストーリーも用意してほしかったというのが正直なところだ。リリカなんかはなぜ今の容姿になったのか触れている場面があったが、そこも数行書いて終わりではなく、回想なんかを絡めながら丁寧にやってほしかった。
また、もう一つは単純にヒロインに魅力を感じなかった点。上記の幼なじみらしさ以外でもヒロインを好きになるような要素があまりなかったのが残念だった。物語後半はキャッチコピー通りの内容になっているので、前半にあるかなと読み返してみても、やっぱりぐっとくるものがない。内面にもっと個性があっても良かったかなと思う。陥没なんてマイナス要素をくっつける暇があったら、小さくてもいいからプラス要素を生み出しくっつけてほしかった。
思っていたよりも恋愛描写があって嬉しかった反面、作品を見る目が厳しくなってしまったなと。何も考えずにえっちな身体つきをした少女達を眺めるくらいが良い楽しみ方なのかもしれない。ただ、それでもやはり陥没設定は不要だったと思う。言うほど陥没していない中途半端なやつなので、陥没が好きなユーザーがいても満足は出来ないのかなと。