感動や驚きに至る物語はなく、面白味を感じる瞬間は少ない。ただ、ストレスを感じる瞬間もないので、ヒロインとのイチャつきを目的にプレイするのであれば、それなりには楽しめるのかなと。
ランプの最新作であり、前作が非18禁でしかも短めの内容だったので、今作はちゃんとエロありのフルプライスで作ってくださったことにまずは感謝と安心を覚えた。今作の舞台は海の底の海底都市アタランシア。大嵐に巻き込まれ、海に沈んだところを助けられる形で物語がスタートする。
読み始めて少し経って、かなり平和な内容になりそうだなと感じたが、ずばりその通りでアトランシアの街並みを巡りながら、姫様やメイドたちと賑やかな日常を過ごす。まさに竜宮城で過ごす某物語のようだった。共通ルートはそんな感じで起伏のない日常劇で終わる…かのように思えたのだが、まさかの妹ちゃん離脱でそこは少し驚いたかなと。攻略対象を考えればそうなることは予想もできたが、結構いきなり離脱したのでびっくりした。リィルちゃんが不憫で仕方なかった。
個別ルートに関してはそれぞれのヒロインと距離を縮めながら恋愛関係になり、えっちもしていくわけだが、全体的に距離の縮め方が少し不自然だったかなと思う。これまたいきなり告白→OK→えっちなので、もう少し心の揺れ動きというものを見たかったなと。特に幼馴染であるなつみなんかは、それまで幼馴染らしいエピソードがあまりなかったので期待したのだが…。
ルートの出来はさておきヒロインとしてはロザニアがかなり愛らしくて自分好みだったかなと。できるメイドとして主人公の身の回りの世話をし、ルートによってはヒロイン達を阻む壁になる時もある。そんな最強メイドが色恋沙汰に見事にノックアウトされ、慌てふためく姿は可愛い女の子以外の何者でもなかった。
特に嫌なシリアス展開が入るでもなく、イチャイチャ幸せな日常が続いていくだけであったが、きつい性格に見えた彼女が女の子らしく伸び伸びとしていく光景を見ていて不快感は抱かなかった。むしろこれで良いんだよと。頬を染めて12人の子供が欲しいと言い始めるところなんか本当に可愛い。エピローグはたくさんの子供たちに囲まれて、ヒロインの中で一番幸せそうに見えた。
振り返ってみるとまあ中身のない、あくまでヒロインとの恋愛模様を楽しむ作品であったが、好きになれるヒロインはしっかりいたので、気持ち的には満たされたかなと。ヒロインに関する心配は全くないが、次作はもう少しシナリオに力を入れた作品を用意してくれると嬉しいです。