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asteryukariさんのTO・RA・WA・SE ~囚われの偽妃が夢みる初夜~の長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
TO・RA・WA・SE ~囚われの偽妃が夢みる初夜~
ブランド
だーくワン!
得点
75
参照数
2137

一言コメント

性転換を活かしたHシーンの数々が大変魅力的なのは勿論の事、シナリオも自分の好きな方向に持っていってくれたのが嬉しかったかなと。主人公にとっての幸せとは何なのか、それがよく描かれていた。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想


美しい絵とTS要素に惹かれて購入したわけだが、想像していた内容よりもだいぶ自分好みの作品に仕上がっていた。導入がまず少し特殊で、主人公が女の子になる前に彼女がいるパターン。恋人にプロポーズする為に古城のホテルを借り、愛を育む。誰がどう見ても幸せな光景である。


導入で雪に心を掴まれたのもあって、序盤は主人公の身に起きた変化よりも彼女はどうなっているのかに気を取られていたのだが…まあ女としての喜びを知り始める主人公がとんでもなくスケベで、中盤になる頃には快楽に身を委ねていく主人公ばかり目で追っていた。

ジャンルの強みを活かし、しっかりと主人公の葛藤を描くことでシーンの質が大幅に向上していた。嫌がりながら、涙を流しながら、そんな表情とは相反して「堪らなく堪らなく堪らなくっ、気持ちいいっ!」と心では思っている。そんな光景を見て興奮しないわけもない。絵のクオリティも非常に高いので、シーン目的で本作を読み始めたユーザーにもしっかり受けるかと。


デミトフENDでは完全に女として抱かれる喜びを知ってしまい、終いには「俺で…気持ち良く、なってほしいかなって…ッッ」なんて口にしてしまう。“俺”という部分とぼかしながら口にする点がもう満点で、デミトフもさぞ興奮しただろうというのが手に取るようにわかる。あれだけ嫌だった妊娠に対しても、笑顔でむしろ感謝を述べてしまう。そんな完全メス堕ちルートだったが、これだけでだいぶ満足感を得られた。


ではTRUE ENDはどうだったかというと、こちらがとても良かった。エロさではデミトフENDに遠く及ばないものの、結構私好みの結末を迎えてくれたなと。「みあ」の姿で雪を説得し、みあのまま幸せになる。女として生きると、そう啖呵を切る主人公は男だった時以上に逞しく見えた。ただ一点だけ、雪がバイセクシャルだったという設定に感しては若干不満があって、出来れば時間をかけて主人公を理解していくという形をとってほしかった。辻褄は合うけれど、少し便利設定のように映ってしまったのだ。





振り返ってみて感じたのは想像していた以上にしっかり真っ直ぐなシナリオが用意されているなと。男の肉体に戻れるか、異世界と決別できるか、大切なのはそこではない。本作は一貫して「幸せになること」に焦点を合わせて進行していた。男のままでは幸せになれないが、女になればどのような結末を迎えても幸せになれる。ここを統一してくれたのは個人的に凄く嬉しかったし、本作の大きな評価ポイントだと思う。

期待していたシーンは充分以上のクオリティで、シナリオも納得のいくものが揃っている。総じて満足度の高い一作だった。