プレイしていて面白いと感じる瞬間はほとんどなかったが、登場するヒロインは可愛い子が揃っていたかなと思う。だからこそ個別シナリオも少し、ほんの少しで良いから頑張ってほしかった...。
長らく続いてきた戯画というブランドがもうすぐ終わる。その事実を受け入れるのがどれだけ辛かったか。そんな背景もあって本作に対するプレイ意欲はかなり高かった。軽くあらすじを読んだ際は少し悪寒も走ったのだが、戯画ならやってくれると、そう信じたがっている自分がいた。しかし…現実はそう甘くなかった。
まず本作の要となるゲームシステムについて感想を述べていくが、初めて戦闘を行った際は思わず笑ってしまった。こんな質素で戦略性の無いものを用意してくるとは。一応、配置によって敵の攻撃を軽減出来たり、逆に味方の攻撃を強めたりできるため意味はあるのだが、ある程度進めると魔法組最後列、剣士組前から二列目の配置で安定するかなと。特に敵に合わせて変えるとかはなかった。陣形によってスキルやステータスが大きく変化するとかであれば、もう少しわくわくしたかもしれない。
加えて新しい習得技があるなんてこともほとんどない(支援が増えるくらいはある)ので、最後まで盤面が大きく変わることはない。適当に攻撃して、支援して、たまに見慣れた奥義を撃って…本当にその繰り返しなので面白いと感じることはあまりなかった。ユーザーによっては飽きて1ルートクリアで終わりという方もいるかもしれない。
そんなつまらないゲームシステムのわりに敵は結構な強さで、レベリングをしないと勝てないなんて奴もそこそこいる。そこはまあ歯応えがあるという意味で良かったポイントなのだが、レベリングをする場合に毎度過去に見たイベント会話が再生されるのが残念だったかなと。経験値がうまい相手に限って長めのイベントがあったりするので、そこはもう少しどうにかしてほしかった。ちなみに私の全ルートクリア時点のレベル平均は50だったのだが、キキの全体回復力をもう少し高めればもう少しレベルを下げてもクリアできそうである。
てな感じでゲームシステムに関しては端的に言ってまあまあ終わっていた。ただ、本作はADVだ。シナリオ、シナリオがあるではないかと!ということでシナリオについての感想も述べていくわけだが、これはもう更に酷い。異世界で戦っていかなければならないというのにまるで緊張感がない。女の子とイチャイチャ遊びながら、時たま思い出したかのようにボス攻略に励む。そんな適当極まりない光景が用意されていた。キキルートにて主人公が異世界でも現実世界でもリスポンできると知った時は乾いた笑いが出た。
そんなわけで盛り上がる場面や燃える場面なんてものは一切なくて、魔王や魔女たちも主人公とは温厚な関係の状態で戦うので、全然熱くならない。それなのに装備はレベルが十分でないと敗北するからとても腹が立つ。なんのために戦っているのか、何の感情を得るために戦っているのか、本当にわからなくなる。
また、ラスボス戦に関しても同様で、倒さなければならない敵ではあるものの、それ以外の何者でもないのでどこか乗り切れなかった。というか主人公とヒロインは相変わらず緊張感のないまま戦いに挑むので、ラスボスが一人で喚いている子供にしか見えない...。
あとはラスボス戦が盛り上がらない理由として、焼き回しだからという点が大きい。本作には五人のヒロインがいて、六章にてそれぞれのシナリオに派生していくわけだが、流れは皆一緒なのだ。勿論、ヒロインとの恋愛パートやゆかりのある人物との絡みなど、多少は個別ルートらしい内容も含んではいるが、最後はやっぱりオールドクレインちゃんをボコすわけで…本当にラスボスちゃんが不憫だ。
ヒロインの恋愛パートに関しては序盤こそ距離の詰め方が自然で良いのだが、一度身体を重ねるとCG消化と言わんばかりにえっちしまくりでそのままラスボスまでいくのがちょっと…これで満足しているから滅ぶんだぞと言いたくなった。クラリアスもそうだっただろ。
最後に好きなヒロインについて触れて終わろうと思う。私が最も好きだったヒロインは栖衣香ちゃんになるかなと。周りが変わり者が故に控えめな性格に見えるが、関係が深まるにつれてどんどん積極的になっていくのがよかったなぁと。最後もしっかり両親へ結婚の挨拶をしにいくために主人公を捕まえて、子作りの計画も立てて…本当に良い女になった。
総括としては簡素で面白味のないゲームシステムに加え、シナリオも酷い出来だが、ヒロインとCG関連は良かったかなと。ファンの多い絵師さんを起用しているので、シーン目的で本作をプレイするのであればそれなりに楽しめる方はいるのかなと。無論、勧めたりすることはない。