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asteryukariさんのましろ色シンフォニー SANA EDITIONの長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
ましろ色シンフォニー SANA EDITION
ブランド
ぱれっと
得点
74
参照数
1182

一言コメント

*mutsu-no-hanaプレイ済みの身としては少々気落ちしたものの、ようやく幸せを掴みとった彼女の笑顔は、今も昔も等しく眩しかった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

十年以上の歳月を経てましろ色シンフォニーがリメイク&本編で攻略できなかった紗凪をメインヒロインに据えたSANA EDITIONの制作が発表された。紗凪がメインヒロインとして昇格するのは今回が初めてではなく、過去に発売されたPSP版「*mutsu-no-hana」にてしっかりと専用ルートが用意されていた。今回のSANA EDITIONはそこに新規のシナリオを付け加えたとのことで、PSP版プレイ済プレイヤーとしては楽しみ!…とまではいかないまでも、そこそこ楽しみにしながら発売の時を待っていた。

そして、プレイしてみた感想としては結構そのまんまなんだなぁと。基盤となるストーリーはPSP版準拠で、そこから不自然だった部分やいきすぎた部分を排斥していく…言わば修正版を出してくるものだとばかり思っていたので、謎に紗凪が傷つく場面は勿論、某監禁事件も健在で少し笑ってしまった。個人的に綺麗になかったことにしなかったのは評価できるが正直、企業側の努力というのも感じられなかったので、そこは少しモヤを感じる。


ただ、やっぱり紗凪が愛らしいのは今も昔も変わらなくて、当時強く印象に残っていたあのブランコでの告白シーンは、やはり格別に良かった。何が良いって、本編では振られた悲しみの涙しか流せなかった彼女が、今度は告白されて嬉し涙を流せていることである。テンパって台詞を噛んでしまったりしている彼女を前にして、真っ直ぐストレートな告白をする。周りの女子たちもキャーキャー言うように瓜生新吾という男は本当に優しくて良い男だった。

期待していた追加シナリオに関しては、一時間にも満たないアフターストーリーなので、凄く良かったとは言い難いものの、自身のルートが実装された後も何かと表情が歪んでしまうことが多かった彼女が、常に笑顔で幸せそうな台詞を連呼しているのはとても良かった。旧絵が好きな身としては新規のCG、立ち絵にどうしても違和感を感じてしまったりしたが、アフターストーリークリア後に変化するタイトル絵は、本作をプレイしてみて良かったと思えるくらいには美しかった。その笑顔をこれからも絶やさずにいてほしいし、そんな心配は無用だろう。いつまでもお幸せに。





といった具合で少し辛口な意見も述べてしまったが、概ね楽しむことは出来たのかなと思う。*mutsu-no-hana未プレイの新規ユーザーさんなんかは、私の気になった部分とは無縁な紗凪ライフを送ることができると思うので、本編で紗凪のことを気に入ったのであれば満足できる作品になるのではないかなと。

次作もリメイクだったりするとちょっと笑ってしまうが、そんなことはないと思うので今回のリメイク&逆移植で作ったお金をもとに、また素晴らしい新作を出し続けてほしいものである。ぱれっとさんのことを陰ながら応援しています。