起伏に乏しいシナリオではあるものの、本編で大好きだったキャラクター達と再会できたこと自体は非常に嬉しい。相変わらず漫才を繰り広げてくれる二人を見て心が和んだ。
前作では途中から仲間が鬼化するという流れだったが、今作はそもそも鬼化した少女達と戦うところから始まる。導入自体は悪くなくて、むしろ新鮮だなと思ったのだが...読めば読むほどにうんざりしていったというのが正直な気持ちだ。鬼化した浅倉家は信長を憎んでいるという内情もあり、序盤からガンガン戦闘が続いていくのだが、しばらくの間ドンパチやって撤退を繰り返すのでまあ飽きてくる。面白くない少年漫画にありがちなやつである。
とにかく敵大将の加藤さんが小物なので、戦闘自体の面白くなさは勿論、あんな雑魚に操られている新規ヒロイン達への好感度もなかなか上がらない。前作もわりと酷い扱いだったが、今作は本当に捨て駒のように扱われていて、少し可哀相であった。唯一良いなと感じたのは仁虎ちゃんくらいだろう。元々、あの手のキャラクターは好きなのだが、小夜叉と組み始めてからは一層魅力的なキャラクターになってくれた。恋愛耐性ゼロな点も素晴らしい。
といった具合で新要素に限って言えば期待を大きく下回ったというのが正直な感想だが、一方で嬉しかった点もあった。それは一葉様との再登場である。相変わらず自由な発言、自由な行動を繰り返す彼女が好きで、彼女の出番が来るたびにホッと一息つくことができた。台詞の合間に集中線が入る妻もなかなかいないだろう。
また、幽との漫才コンビっぷりも健在であり、アホなことを言い出す当代と冷静なツッコミをいれる従者を眺めているのが非常に楽しかった。また、パッケージ絵でも大きく目立っているように双葉の活躍場も多く用意されていて、城で待っているばかりだった彼女が戦場に立ち、一葉を支えていく光景は中々に見応えがあった。「あの素直で奥ゆかしかった深窓の御令嬢が、だんだん当代に似てきたなと思いまして...」と残念そう零す幽がツボ。双葉の出番が増えた影響で幽との掛け合いが減ったのは少し残念だが、足利家が好きな身としてはやはり嬉しかったなぁと。
また、因縁により今回は久遠の登場機会が多かったのも良い点かなと。お留守番担当な彼女もそれはそれで愛らしかったが、前に出て勇ましく彼女もまた魅力的だった。たまに気持ちが先行して前に出過ぎてしまう場面なんかは本編を思い出し、懐かしい気持ちになる。
まあ面白味は少なかったが、思い入れのあるキャラクター達に救われた。一葉様の更なるご活躍をお待ちしています。