笑いだけでなく、熱く滾る展開まで用意してくれて、搾精病棟という作品のことを一層好きになった。楽しい時間をありがとう。
シリーズ三作目ということで、前作の終盤に出てきた看護婦長を軸に物語は終局へと向かっていく。本作の見所はずばり看護婦達との協力である。脱法ドラッグをパイプに反射組織と繋がる看護婦長一派に、ヤマダと下っ端ナース達が協力し、立ち向かうという熱いストーリーが描かれていた。
ただまあ、最初からそんな熱い戦いが始まるわけではなくて、序盤は例の如くナースやドクターの玩具になっているヤマダが見られる。つまり笑いもちゃんと存在するわけだ。特にタチバナさんが他の男に抱かれながらクロカワさんと号泣えっちするシーンはツボで、煽りまくるクロカワさんも、突然同情して泣き出すクロカワさんも最高に面白かった。本当にベテラン声優さんが担当でよかった。
看護婦長一派との戦いが始まると、ヤマダは相変わらずやられっぱなしだが、その裏で描かれるお局ナースと若きナース争いがなかなか面白い。そして、ここでもやっぱりクロカワさんがやってくれた。勝利後に調子に乗ってお局たちを馬鹿にするクロカワさんを見て呆れるヤマグチさんが大好きだ。自業自得なのにすぐに責任転嫁する。クロカワさんのそういうところが好きなのだ。
また、ナースたちの奮闘劇を描く中でしっかりと個人に焦点を当てたエピソードを盛り込んでくるのも評価していて、そのキャラクターからあまり興味を持てなかったアマミヤ&オオツカに対しても情が湧いた。なぜオオツカがアマミヤに忠誠を誓ったのか、あの過去を知って疑問を持つ者などいないだろう。一枚絵も含めて不覚にも涙を流しそうになってしまった。相変わらずうるさいのに...。この辺は原作より良かったかなと。
そして忘れてはならないのがマコの存在。「超凶悪」という冠がついていたが、彼女もまた愛に満ちた女性であった。彼女の人格が言い争いをする場面はかなり頭に残っていて、イラストの構図は勿論、声優さんが凄く熱を入れてやってくれたなぁと。間反対のキャラクターにもかかわらず、双方に意志を吹き込んでくれる。流石は大ベテランである。
幕の下ろし方も実に好みで、かつてはナース達の玩具に過ぎなかったヤマダが、ナース達に祝われてえっちまでさせてもらっている光景はなかなか感慨深かった。タチバナさんの精液を呑む描写なんかをしっかりと持ってくるあたり、丁寧に作られているなと感じる。そして、えっちでも集合写真でも号泣しているクロカワさんはやっぱり大好きだ。
最近のシリーズモノの中ではかなり好きで楽しみにしていた作品だったので、終わってしまった事実が悲しくて仕方ないけれど、それよりも楽しい時間を与えてくれた事への感謝の念の方がずっと大きい。原作ファンとしても文句ない仕上がりだった。ありがとう。