前作の良さが失われただけでなく、不要な部分に手が加えられていた。前作から彼女のヒロイン昇格を楽しみにしていた身としては残念でならない。
一途な彼女シリーズ二作目であり、、前作にてヒロインの良き友人であった「るな」がヒロインになった作品。響花とは真反対のタイプに見えるが、意外と友情に熱く、おまけに恋愛経験ない。そんな彼女が今度は恋をする立場になると聞いたら、それはもう楽しみで仕方がなくなるわけで、密かに発売の時を待ち侘びていた。
いざやってみた感想としては悪い意味で前作とはだいぶ違う、少々残念な作品になっていた。いきなり付き合う所は前作と同じで、そこはまあ前作でもややテンポが早く感じていたが、恋人になってからの初々しいやりとりが本当に素敵だったので、これはこれでありだなと納得させられてしまったのをよく覚えている。しかし、今作は違った。今作の二人からは初々しさやドキドキがあまり伝わってこなかったのだ。
そう感じた要因は大きく分けて二つある。一つは全体的に丁寧さが失われたこと。悩んで迷って顔を赤らめた末にようやく手を繋いだり、初めての時は尺を長めに用意したりと、本当にそんなところまで丁寧にやるのかというのが前作だったが、今作は淡々としていた。勿論、後でヒロインが思い出して赤面したり、初々しさを感じる瞬間もあったが、やはり足りない。ただまあ、これは今作が悪いというよりかは、前作のヒロインのタイプが作風と噛み合い過ぎていたのかなとも思う。るなちゃんはるなちゃんでよくやってくれた。
そして二つ目は新要素の「トークモード」。これが個人的には悪手だったと思う。初々しいやりとりを自然なリズムで追っていく、それが大きな魅力だったのに...。変なタイミングでトークモードを挟んでくるので時には憤りを感じる瞬間すらあった。恐らくはプレイヤーを飽きさせない、楽しませたいという考えの下、導入したのだろうが正直、邪魔だった。二人の恋愛風景を見守っていたい、ただそれだけなのだ。
新要素と言えば前作からあった「エクスタータッチシステム」も本作で進化していた。というか進化していたらしい。公式曰く進化していたらしいのだが、これはわかりやすく無駄だったなと思う。しかもそれをアフターの解放条件にぶち込んでくるのは、はっきり言って狂っている。アフターを楽しい気持ちで解放したユーザなど一握りだろう。それほどまでに虚無な作業だった。
といった感じで様々な理由から楽しむことはできなかったが、ヒロインのるなちゃんは自体に罪はないので、そこまで過激に批判するのは控えたつもりだ。恐らく次作に来るであろう静音も好みの女の子なので、どうか彼女の魅力を落とさないような作品に仕上げてほしい。