寝取って終わりではなく、寝取った後も執拗に主人公の事を追い掛け回してくれるのは良かったかなと。ただ、ヒロインが自分のイメージとかなり食い違っていたので、心の底から楽しむことは出来なかった。
大きなポニーテールが特徴的なヒロイン「芳峰 夜宵」に惹かれて本作を購入した。仕事ができて皆から慕われる女上司と、そんな夜宵の彼氏であることくらいしか誇れることがない主人公。関係こそ不安定だが、同棲生活は意外とお似合いで、序盤はそれなりに幸福が伝わってくる日常を見せてくれたりもする。それがこれから壊されるのだと思うと大変心が躍った。
で、やってみた感想としては確かに寝取られてはいたけれど、寝取られ描写が秀逸な作品ではなかったかなと。そう感じた理由は大きく分けて二つ。
まずはヒロインこと夜宵が色情狂な点。まあアトリエさくらだからはさておき、その見た目と設定からもう少し真面目な、もっと言えば自分を持っているヒロインだと思っていたため、序盤は本当に驚かされた。いくら商談のためとはいえ、「しゃぶってくれ」と言われて何の抵抗もなくしゃぶりはじめるのは…笑。
しかもそんな事が起きた後も、普通に匠(間男)と居酒屋に行って笑顔を見せて、挙句の果てにはまんまと泥酔お持ち帰りえっちされてしまう。この時点でヒロインに対する気持ちが失せたのは言うまでもない。こんな弱くて淫乱な女を見たくて本作をプレイし始めたわけではないんだと、軽い憤りを感じた。そして、こんなヒロインなので当然、取られている感はないし、こんな淫乱女いくらでもくれてやれよとすら思った。
次に間男の目的が寝取る目的ではない点。間男こと匠は確かに主人公から夜宵を奪い取ったが、それは手段であって目的ではない。彼の本当の目的、それは学生時代にいじめていた彼を再度苦しめることにあった。だからこそ、寝取って終わりではなく、寝取った後も完全に自分のものにはせず、あえて彼女をそのままの位置に置いていた。夜宵が彼女であることが唯一のステータスな主人公をまだまだ苦しめたいが為に。
終盤の彼のムーブはもう笑ってしまうほどに陰湿で、わざと三人行動して夜宵との関係を見せつけたり、結婚を宣言し、夜宵をめぐる勝負をしかけたり。お前実は主人公の事が好きなんじゃないかと錯覚するような行動ばかり見せてくれる。匠が笑っている時は大抵、夜宵と話している時ではなく、主人公の嫌がらせを考えている時なのが本当に面白い。
といった具合で寝取られ作品っぽくはなかったものの、間男が良い意味で粘着気質だったので、意外な部分で楽しむことができた。ヒロインについては残念以外の言葉が見つからないが、エンターテインメントの”道具”として頑張ってくれたのでまあ許そうと思う。
素敵なショーをありがとう。