正直、もう少し面倒臭い性格の方がキャラクターも話も良いものに仕上がったのかなと。全体的に中途半端で、面白味の少ない作品だった。
となりに彼女のいる幸せが好きだったため、迷わず購入したが、結果としてはあまり良いとは言えない出来であった。内容としては茶道部に猛勧誘してきた先輩と、つい入部してしまった主人公の日常を描いた作品であり、序盤はそこそこ面白かった。単純に姫宮先輩が可愛いので眺めていて癒されるし、時たま見せる奇天烈な行動も愛嬌があって良いなと。
主人公も主人公で、彼女の行動にツッコミを入れたり、急に女の子らしさを感じて赤面したりするのが良い。かまう役とかまわれる役の関係が心地よくて、特別なイベントこそないけれど、二人だけの空間でゆったり過ごす彼らを見て不快だとは感じなかった。
ただ、二人が異性として互いに意識し始めるとその関係は少し変わって、何の面白味もない風景ばかりが映し出されることになる。海に行ったと思いきや、数分後には野外ファックを決め込み、秘湯に行った際も勿論、欲情する。これを恋人らしいと光景として捉えるのであればまあ問題はないのかもしれないが、会話に面白味があるわけでもないので…それまでの二人のやりとりを気に入っていた身としては気落ちしてしまった。
姫宮先輩は「かまってほしいタイプ」なので、恋人になるとそれが落ち着くというのはまあ理解できるのだが、もっと突き抜けたかまってちゃんであったら、キャラクターとしてもお話としても好きになれたのかなと思う。さらに言えばかまってちゃん過ぎて軽くうざいくらいの方が私好みだった。
また、終盤の学園祭イベントも残念の一言で、茶道部としての活動風景が見たかったとは言わないから、せめて二人でゆっくりまわるなど、恋人らしいやりとりを見せてほしかったなと。ヒロインの幸せそうなCGをペターッと貼っていきなりエンディングは悲しすぎる。これ以上何をやるのかと言われたらぐうの音も出ないが...。
振り返ってみると姫宮先輩は可愛くて良かったともう反面、可愛いだけで中身に魅力を感じる事はなかったし、作品の中身も空っぽだったなぁと思う。となかのシリーズはキャラクターの個性を出そうと頑張っていた印象なので、本作でもそれを見習ってほしかったというのが正直な気持ちだ。