調教の対象となる姫様が本当に良い子ちゃんなので、凌辱劇を楽しめたかというと微妙なところ。ただ、彼女の優しさはお話の方でちゃんと生きていたので、そこは良かったかなと思う。
姫と婬欲の~ということで、2020年に発売された「姫と穢欲のサクリファイス」に近い設定、ジャンルの作品。婚約者として城に招かれた姫「シルフィア」が、儀式という名の様々な調教を受けていく。
ただ調教を眺めているだけではなく、例によってゲーム性のある作品であり、調教コマンドを選び、彼女を落としていくというのが本作の醍醐味。コマンドによって上昇する値が変わったり、ある程度のレベルに達することで開放されるコマンドなど、ユーザーを飽きさせない工夫も多少は凝らしてあったかなと。終盤及び二周目以降はどうしても作業感があるものの、絶頂のタイミングでの未回収できるCGなどもあるので、なんだかんだ最後まで楽しみ続けることはできた。
そんなわけで物語の大半はシルフィアに対する調教パートなのだが、シルフィアがすごく優しい女の子なので、抵抗心をあまり示すことがなく(一応序盤はそれなりに嫌がる)、凌辱している感はない。なので、本気で姫を堕としたいと考えていたユーザーはもしかしたら気落ちするかもしれない。
ただ、そんな彼女の優しさは物語の後半にしっかりと活かされており、彼女の存在が主人公の心を大きく動かしていく。にしてもあんなに酷い扱いを受けていたのに、主人公のアイリスとの過去を聞いて涙するとは、どれだけ健気なのか。そして、そんな彼女の優しい涙が主人公の中で波紋となって伝わっていたのかと思うと、彼女が正ヒロインで良かったとも感じる。
また、本作にはシルフィアの他に主人公陣営の方でヒロインが複数人いる。この辺はサクリファイスと同じだ。しかし今回は悪魔ではなく吸血鬼だったり、ワーキャットだったり、ホムンクルスだったりとバラバラである。個人的にはサクリファイスの悪魔四姉妹の関係性が好きだったので、今作でも、もう少しヒロイン同士の繋がりが欲しかったかなと。
繋がりと言えばアイリスと彼女達の個々の関係性は中々良くて、ただただ主人公の命令に従っているわけではないのが良いなぁと。思い出があって、恩もある人物だからこそ彼女達も行動するのだ。中でもエリザとアイリスの会話パートがお気に入り。恐らくエリザこそが主人公の最大の理解者だろう。
話の結末については特に驚きもないものばかりではあるが、正ヒロイン達のものだけでなく、アイリスENDなんかも用意されていたのが嬉しかったかなと。
「アイリスの肌があればそれでいい。」
「アイリスの温もりに抱きしめられたら。それでいい。」
全てを失ったけれど、全てを失ってでも取り戻したいものを得ることができた。あれも一つの幸せな結末だと私は思う。
ところどころに不満、物足りなさを感じる部分はあれど、基本的には楽しく遊べる調教ADVだったなと。CGの塗りも抜群に良いし、単純にヒロインのキャラクターデザインも良いので、絵に惹かれて購入したとしてもそれなりの満足感は得られるだろう。
次作はどんな調教ADVを出してくれるのか、楽しみにしています。