読み進める度に旭ちゃんの笑顔が増えていくようで、なんだがこちらまで幸せな気持ちになってしまった。元のストイックな彼女も見られたことだし、旭好きの私にとっては充分な作品だった。
前作のヒロインの中で最もお気に入りだったこともあり、本作の事は密かに楽しみにしていた。内容としてはまあ基本的には穏やかで甘い日常を過ごすわけだが、彼女の恋を応援したい、彼女の幸せそうにしている姿が見てみたかった私としては充分すぎる光景が広がっていた。
本編ではその構成上、主人公にアピールしても軽くあしらわれてしまう事が多かった彼女だが、本作は違う。アピールすればするほど主人公は彼女の事を意識するし、それを態度で示してくれる。それが彼女にとってどれだけ嬉しかったかは彼女の表情を見れば一目瞭然、もう本当に常に赤面してるかニヤけていたのではないだろうか。どのシーンも好きだが、特に犬のようにご飯をねだるシーンは印象的。忠犬とでもいうべきか、本当にご主人様の事が大好きな彼女であった。
また、「紅葉とワンルーム」以上に競技描写に力が入っていたのも嬉しい。ここぞという場面に見せてくれた技も主人公が教えたものではなく、彼女の兄が追い求めた「攻めの居合」だった点もよく分かっている。本編での彼女を思い出し、少し涙腺が緩んでしまった。本当に健気で良い子だ。彼女の事が一層好きになった。