ある程度お話の流れを組んだら後はひたすらシーンを垂れ流す。そこに面白さなんてものは欠片も存在しないが、シーンのバリエーションを増やしてきた点は評価したい。
「天翼のアスクレイン」のアペンドディスクとして発売された本作。発売までのスパンが短かったのもあって内容にはそれほど期待はしていなかったものの、シナリオが面白い面白くない以前にそもそもシナリオと呼べるものが存在しなかった。彼女が敵に捕らわれるまでを描き、そこからは本当に間髪入れずにHシーンを連発。そのテンポの良さには思わず笑みが零れてしまったほどだ。
ただ、それを批判する気は毛頭なくて、実にここのブランドらしいなと感じた。ここのブランドの作品を買い続けているユーザーであればため息はつくかもしれないが、怒り狂う者はいないだろう。大事なのは、求めているのは追加シナリオではなく、追加シーンの方であるはずだ。
今作の追加シーンも本編同様、人外の生物たちから襲われるものが存在したが、そこは正直さほど嬉しくはなかった。(タコさんのシーンは嬉しかったです!)ただ、研究員に捕らえられてしまうシチュエーションはかなり好みで、人外ともいえる力を手にしたヒロインが非力な研究員共の実験道具となっていく様は非常にそそった。
良かったのが電気ショックにしろ強制人工授精にしろガッチリと四肢が固定されている点だ。どうやっても逃げられない、けれど逃げなければ自分がどうなるかわからない。ヒロインの恐怖と焦りが伝わってくるかのようなシーンの数々は、私の心を十二分に満たしてくれた。
褒める所と言えば本当にそこだけだったので、満足とまではいかないまでも損をした気分にはならなかったかなと思う。次回作でどういった作品が出るかはわからないが、こういった商法に頼るのではなく、作り手も読み手も満足できる完成された新作を出してほしい。