内容はいたってシンプルで褒める所も少ない作品だが、自分好みのヒロインを見つけた上で読み進めるのであれば、ある程度の満足感は得られるかなと。属性分けも頑張っていたと思う。
転入生の主人公が学園卒業&先生たちと仲良くなることを目指して補習授業を受けながら、各教科の担当教員と親密になっていくお話であり、ヒロインは何と全員が先生だという。日論の半分の割合が先生だという作品はちらほら見かけるが、全員は中々珍しいと思う。しかも攻略可能人数も七人とまあまあ多めなので、楽しみが膨れる一方で、キャラ被りを恐れたりもしていた。
実際やってみた感想としてはヒロインの属性はうまい事分かれていたと思う。担当科目だけでなく趣味趣向もきちんと異なっていて、そこを心配していた自分としてはまずホッとした。髪色髪型がそれぞれ違う点も嬉しい。イラストも良い感じなのでパッと見て誰か一人くらいは気になるヒロインを見つけられるかなと思う。
で、肝心の内容だが…端的に言ってしまうとやや退屈に感じた。まずは攻略システムについて語っていく。
システムは極めて簡素な作りになっており、気になるヒロインの授業を選択し続けることでヒロインの好感度が上がっていき、最終的に条件を満たしたヒロインのルートへと分岐する。そのため、途中までは同時攻略が可能であり、はじめから七周する必要なんかはない。
なのでまあ頭を使う事もなければストレスに感じる事もないのだが、会話パートがあまりにも平凡なので、作品を読み進める上での面白さというものがまるでない。勿論、ヒロインの事が特別好きで、彼女達と会話できるだけで満たされる瞬間もあったりするわけだが、全体を見ると一握りだったかなと。
加えてヒロイン√分岐後の尺もかなり短めで、内容もすごく薄い。共通で触れていた話題にちょこっと触れて問題を解決することなくENDを迎え、エピローグで何となく解決なパタンがほとんどであり、感動もなければ怒りもわかないような唖然としてしまう話ばかりだった。こんなことならば飽きるほどに長い共通部分を削り、個別の話に力を入れてほしかったというのが正直な気持ちだ。まあ、そもそも個別の話を用意する気がなかったのかもしれないが...。
とまあ自然と悪い部分ばかり語ってしまうような作品だったが、それでは良い部分はどこだったかと考えてみると、それは単純にキャラクターの愛らしさ及びHシーンになるかと。
七人の中でも特にお気に入りだったのが珠希で、容姿に惹かれた以上に中身が好みだった。彼女は体育教師という立ち位置なのだが、距離感は友達に近く、それが彼女の良い所だったなと。それでいて女の子扱いすると赤面して言葉を捲し立ててくるなど、ヒロインとしての魅力も充分に備わっていた。シナリオもまるで友達同士のような、のほほんとしたもので、面白味こそないが実に彼女らしいものだった。
あとは真月里様なんかも印象的で、とても好きな系統のヒロインだった。人弱みを見抜き、傅かせ、支配するのが大好きなドSな女王様であり、主人公も見事な家畜になり果てていた。かと言っていじめてくるばかりではなく、生徒をサポートしてあげたりと先生らしい姿を度々見せてくれるのも彼女の魅力かなと。声優さんの演技がもう少し抑えめで、気品のある女王様タイプであったらもっと好きになっていた。
総じてモヤの残る作品だったが、かわいいイラスト目的で読むのであればまあギリギリ楽しめるのかなと。話に多大な期待を抱いていなければ舌打ちくらいで済むかと思う。