唯香はタイトルにもある通り「ドМ」なので堕ちた後は自ら犬になることを志願したりもするが、意外にも堕ちるまでのスパンは長め。女の揺れ動く感情もしっかりと描かれているので、想像していた以上に楽しめた。
たまたま万引きの現場を目撃してしまい、それを口実に女に対して様々な要求をしていく。流れ自体はありがちで、そこに関しては何の意外性もなかったのだが、その相手がかつての同級生である点はわりとユニークかなと思う。学生時代、自分の事をバカにし続けていた女への復讐劇としても充分に楽しめる作品になっていた。
良かったのが同窓会でのやりとりを挟んでくれた点で、十年ぶりに再会したにもかかわらず全く変わっていない…というか以前よりもウザさの増したキャラクターになっているのがすごくいい。そんな女への復讐劇がこれから始まるだと思うと、読み手としても心が躍る。
万引きの品も比較的安価なものばかりな事も各々の立場を考えると面白かったかなと。セレブな女性がたった数百円の商品をダシにどん底に突き落とされていく感覚はとても気持ちが良かった。てっきりセレブ妻＝強気なだけかと思っていたので、こういうちょっとした工夫でも嬉しい。
そして、メインである調教が始まると嫌々言いながらヒロインはどんどん主人公のものになっていく。少し落ちやすいかなとも思う反面、心の方は結構粘ってくれるので中盤以降からは消化試合みたいな事態にもならなくて、なかなか楽しませてくれる。
これはヒロインの意志力もそうだが、主人公の距離の取り方が絶妙だったからだなと。ただ犯すだけでなく、道具を使ったり、周りに人がいる状況でえっちしたりと、彼女が経験したことのない快感を身体に刷り込ませることで、彼女の心を揺さぶっていく。
「ああ、もう…！我慢できない…っ！」
「あの快感が、忘れられない…！」
とようやく彼の魔の手から逃れたにもかかわらず、彼に電話をかけてしまうシーンは本作の最大の見所だろう。そうなることを想定していた彼の立ち回りも含めて最高の気分に浸ることが出来た。
最後の最後で堕ちて、堕ちてからは彼の事を心から好きになってしまう。その光景は滑稽そのものであり、今まで気にしていた社会的地位も何もかもを捨て、彼とのセックスを楽しむ彼女を見て自然と笑みが零れた。主人公が聞く前から旦那より貴方の方が良いだの言い始めるなど、完璧に堕ちていた。自分をいじめていた相手でしかも今は超セレブな若妻が首にリードを付けて自分の前で腰を振っている。その時の主人公の気持ちを考えると、こちらまで気持ちよくなってしまう。
内容としてはシンプルだが、局所に工夫が凝らしてる優秀な寝取りモノだった。次回作にも期待したい。