ヒロインの愛らしさが前面に押し出されており、一度好きになってしまえばその後もずっと好きになってしまう状態が続いた。内容的には物足りなさを感じる部分もあるが、シリーズらしい設定が話に組み込まれている点は良かったなと思う。
以前発売されたD.C.4に18禁要素を追加したものであり、D.C.4未プレイの身としてはいい機会だったので迷わず購入した。正直な事を言えば18禁になり追加された部分に関してはやや残念な出来だった。というのも二回目が一回目の使いまわしだったからだ。別にシーンに多大な期待を抱いてプレイしたわけではないのだが、あれは流石に少し首を傾げてしまった。
とまあ、ちょっとした不満は置いておいて、本感想ではあくまでD.C.4につい語っていきたいと思う。
開幕早々シリーズを象徴とする桜や魔法の存在が示され、加えて学園ものらしさもしっかりと備わっている。これが本当に嬉しくて、Ⅲは魔法学校がメインだったこともあり、学園ものらしさはあまり感じられなかったので、なんだか懐かしい気分にさせられた。ⅠやⅡをやっている時に戻ったかのようである。
攻略はⅢの時同様、かなり簡素なものとなっており、ラジオもなければアラームを設定する必要もない。最近になって過去作を追ってきた身としては少し寂しかったりもするが必要かと問われると苦笑いをしてしまうようなものだったのでまあ...。攻略可能人数もⅠやⅡと比較してしまうと半分だが、美少女ゲームとしては多い方なのかなと。
ここからは印象的だった三つのルートについて触れていく。
●二乃
主人公の妹という事で”兄さん”呼びだったり、朝起こしに来てくれたり、着替えの場面に出くわしたりとD.C.シリーズらしいやりとりを度々見せてくれる。ただ、関係はやや複雑で亡くした主人公を二乃側の家族が引き取ることで兄妹になったとのこと。つまり血の繋がりは全くないわけだ。
共通部分から主人公の事が好き好き状態で、照れつつもその目線は常に彼の姿を追っていた。寝沖の主人公にキスをしようとし始めた際は少し驚いたが、その後の慌てようを見るに彼女にとっても行き過ぎた自覚はあったよう。赤面して早口になってしまう二乃ちゃんが非常に愛らしい。
話はまさにシリーズの妹キャラらしい内容なのだが、過去に本当の妹がいるということで、その辺で一悶着ある。ただ、シリアスまっしぐらな内容にはならず、あくまで二乃と主人公の恋を祝福するような内容になっていたのが良かったかなと。あの優しそうな妹がそんな黒い想いを抱いているはずがないとは思っていたが、案の定、二乃の勘違いだったわけだ。
特別面白いわけではないものの、二乃という女の子にどっぷりハマっていたおかげか、読んでいて苦痛を感じる事は全然なかった。
●ひより
一目見て物凄く可愛いヒロインが来たなと、好み過ぎる容姿に心が躍った。加えて彼女の姓は”白河”なので、「ああ、また好きになってしまったなぁ」と。どうして白河の血筋を引くものはこうも皆可愛いのかと、ちょろすぎる自分に苦笑してしまった。
楽天的で常にふざけているようにも見える彼女の行動は実はとても有益で、様々な生徒たちに幸せを振りまいていた。自分の恋愛フラグを他人に分け与えることで、他人の恋愛を成功させる。その能力から何となく話が見えてくるが、やはりといった感じのお話が待ち構えていた。
何も持っておらずひとりぼっちになり、いじめられていた彼女をようやく手にしたもの。それは彼女にとって唯一の武器であり、存在意義でもあったわけだ。だからこそ、あんなにも自信を喪失してしまったのだと。解決の過程こそあっさりめだったものの、そういった点も白河の血筋らしいシナリオだったなあと思う。
あとは付き合い始めてからのひよりの愛らしさに思わず舌を巻いてしまった。恋愛請負人として活動していた彼女だが、実際に恋愛したことはなく、それ故に戸惑ってしまう。その光景が本当に笑みが零れてしまうほどにキュートで、初体験の際なんか秘部ではなく彼女の表情を見て楽しんでいたくらいだ。本当に幸せになってほしいかぎり。
●有里咲
他の六人のヒロインを攻略した後に解禁される言わばTrueルートなわけだが、他ルートでも触れられていた平衡世界について詳しく語られることになる。カガミの国とは何なのか、どうして有里栖は一年の記憶が曖昧なのか、また主人公の持つ能力についてなどなど、新事実が次々と露見する。
で、そこで有里栖の分身とも言える存在「有里咲」が登場するわけだが(厳密には共通部分からいた)、その有里咲がまあ可愛くて、自身の中に生まれてしまった想いに戸惑いながらも、それを受け入れ、主人公に身を寄せていく彼女を見て悶絶していた。
結末に関してはプレイ時こそ唖然としてしまったが、色々と思い返すとこういった結末もアリなのかなぁと。何より楽しそうに幸せそうに笑う彼女が見られた。それだけで満たされるものもある。
また、本ルートの分岐として有里栖ルートが存在するが、こちらの魔力の設定を組み込んだ実にシリーズらしいお話であった。個人的には有里咲の方が好きなので、特別感情が入ったりすることはなかったが、それなりには良かったのではないかと思う。
といった感じで印象的な三人について語ってはみたものの、他のヒロインも勿論可愛い子はいて、ちよ子なんかは話こそ残念ながら可愛かったなぁと思うし、何なら全ヒロインに可愛いと思える部分があった。話的には物足りなさを感じる部分もあったが、たくさんの可愛いが詰まった作品だったなと思う。