きららちゃんは相変わらずユニークだし、懐かしの顔ぶれを見られたりするのだが…良い点以上に悪い点が目立つ作品だった。疑問を抱かず即笑いに変換して読み進めていくのが本作を楽しむ秘訣かと。
前作「エピソード2」の続きということで、幼少期から憧れていた主人公とようやく恋人同士になることが出来て、心ここに在らずな状態のリシアちゃん。にもかかわらず一夫多妻制を望んでいるのはよくわからないが、まあそこに突っ込んでしまうとかなり前まで遡る事になってしまうので...。
かくして一夫多妻制を実現すべく、新しいお嫁さん探しがスタートするわけだが勿論、ただお嫁さんを探して終わりではなくて、ファンタジー要素もちゃんとある。数年前に主人公の父親とらぴすの姉を乗せたまま消息を絶った飛行機が突如、校庭に現れる。これだけでも中々にぶっ飛んでいるのだが、本作はそんなものでは終わらないと、これまた急に今いる世界とは違う世界に主人公たちは旅立っていった。
わぁ、すごい展開だなと思いつつも、父親探しとはそれなりに面白そうな話になりそうだなと、読み始めこそ期待しながら読んでいたのだが、その先に待っていたのは期待していた物語ではなかった。
確固たる目的をもって別世界にやってきた主人公たちが何をしたか、それは冒頭にもあった一夫多妻制に向けた嫁探しだったわけだ。勿論、最終的に父やらぴすの姉「藍」に関しては触れるのだが、メインはヒロイン達とのいちゃいちゃもといえっちであり、正妻であるリシアが寛容的な事を良い事に、ひたすら違う女に向けて腰を振り続ける主人公を見て唖然としてしまった。また、ルートによっては当初の目的を忘れたまま終わりを迎えるものもある。
藍ルートに関しては藍が作中で要となるキャラクターなだけに待遇も良いかに見えたが、彼女への事実の打ち明け方があまりにも雑で笑ってしまった。あれだけ仲良く楽しく会話をしていたのにもかかわらず、「元の世界に君はいない」だなんて辛すぎる現実をストレートに彼女にぶつける彼らの神経の図太さにただただ笑っていた。そりゃあ、逃げ出したくなるに決まっている。自殺までいかなくてよかったくらいだ。
まあそんな彼女もしっかりと抱かれるし、何なら奇跡の力で父親もろとも元の世界への生還を果たすのだが、あれをハッピーエンドと言っていいのかというと微妙なところである。
そして、ヒロインの中で最も気になっていたセレナルートについては...真面目でお堅い性格で、けれどとっても素直な彼女とどう恋仲になっていくのかを楽しみにしていた私としては、絶望の底に叩き落されるようなものだった。
なぜあのような展開にしてしまったのか、別世界で兄を慕う義妹に大変身した彼女を見て思わず歯ぎしりしてしまった。こんなの設定で無理矢理主人公に惚れさせただけじゃないかと、最後の楽しみとしてとっておいただけに、ショックも大きかった。眼鏡姿は似合うし、照れている時の彼女は非常に可愛らしい。そう、可愛いのは可愛いのだが、だからこそ「どうして…」と言いたくなった。
他にも日々の掛け合いから物語の終わりまでツッコミ所は山ほどあるが、あまり罵倒し続けても仕方ないので、良い部分について触れる。
まずは前作のヒロインであり、不思議ちゃんキャラのきららが今作でもはっちゃけていた点。会話の内容も大概だが、あの声色で早口で喋り続けるのが本当に面白い。
そして、忘れてはならないのがSHUFFLE!勢との再会。前作でもそうだったが、あのOPのBGM verをバックで流しながら登場させるのは凄く良い。
…他にも良い所はたくさん、きっともっとあったはずだが中でも印象的なのはこの二つだった。
次回作がどうなるかはわからないが、今回のでわりと堪えたのでそろそろ完全新作を出してほしいところだ。
本当に旅立つべきはNavelだろう...