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asteryukariさんのまどひ白きの神隠しの長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
まどひ白きの神隠し
ブランド
Lump of Sugar
得点
75
参照数
679

一言コメント

カミガミと過ごす日常はとても心地よく、異世界のはずなのに違和感を感じなくなっていった。話としては思う所もいくつかあるが、それなりには良かったのではないかと。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ある日鏡の中から飛び出してきた少女を追いかけ、別の世界へと迷い込んでしまう。実にファンタジーな導入で、読んでいくうちにそこがどういった世界なのか、また主人公は無事元の世界へと変えることが出来るのか色々と気になる事も増えていった。掴みとしてはそこそこ良かったと思う。

ただまあ、共通√の時点で帰還するための方法及びそのための条件も満たしてしまうので、その辺のわくわく感は薄かったかなと。あくまで本命はヒロインと恋仲になることであり、彼女達と過ごす時間に注力した作品であった。また、カミガミの住まう地で生活することで、ヒロイン以外のカミガミたちと親交を含めていくというのも本作の魅力の一つかなと。はじめは警戒されていた主人公たちが、徐々に町に馴染んていく様は眺めていて心地よかった。

ヒロイン達は皆何かしらの神様であり、特殊な力を持っている。そんな人間とは違う彼女達と恋愛しようとするとまあ問題も絡んできて、個別√の終盤辺りはややシリアスな空気になったりもする。しかしながらその解決方はかなりあっさりしているため、やはり彼女達との恋人として過ごす点に注力していたなと。ヒロインによってはかなり攻めたシーンもあったりして、ヒロインとイチャイチャしたい気持ちを持って本作に臨んだプレイヤーなんかは満足のいく作品になっていたかなと思う。

以下ヒロインごとの感想

●千代
お淑やかで優しく、町の皆から愛されている。ヒロインの中でも癖がなくトップバッターにもってこいだなと軽い気持ちで読み進めていったわけだが…想像を遥かに超えていた。個別√に入り、やたら距離が近いなとは思っていてたが、夜這いまで仕掛けてきて「私は、使われたいです」なんてことを言い出す。この時点でもまあまあやばい子な気配がしたが、紆余曲折を経て恋仲になった後の彼女は更にその上をいってしまった。

「あなたの道具になりたい」と、そう告げた彼女は一度身体を重ねるともう止まらなかった。抱き枕(意味深)として使われたり、主人公が使っている歯ブラシに嫉妬したり、ついには家の壁を破壊し、自分の穴を使うように誘ってくる。そんな立派なオ●ホ志願兵になってしまった彼女を見て、笑わずにはいられなかった。

終盤の展開及びその解決方はわりとスピーディーで、そこに何かを感じたかと問われると何も感じなかったわけだが、予想外に面白い女の子を拝めたので、気持ちとしては充分だったかなと。


●ろか
主人公たちがこの世界にくるきっかけとなった女の子。常に元気いっぱいで、返事をする際は「あいっ!」と笑みを浮かべながら頷く。それはもうとんでもなく愛らしい娘だった。個別√へ突入すると主人公の事を「パパ」なんて呼び始めて、親子みたいな光景を度々見せてくれる。ただ、そんな愛しい愛しいろかちゃんも本作においては立派なヒロインという事で主人公と恋仲になっていく。

私としては正直、いつまでも「パパとして好き」でいても良かったのだが、照れつつも女の子として振舞い始めたろかちゃんもまあ可愛くって、勘違いを重ねつつ主人公への想いを募らせていく様が素敵だった。

楠葉さんとの関係も最初から最後まで丁度良く、最終的な着地点としても良かったかなと。少し引っかかる部分もあったが、ろかちゃんの嬉しそうな笑顔を見るとこれで良かったんだと思う。


●椎凪
感情の起伏が小さく、人見知りかと思いきや何事にも動じず前に突き進んでいくタイプの女の子。おまけにえっちなことにも寛大ということで、かなり好感度の高いキャラクターだった。

いつ恋仲になるのかなと思いつつ読み進めていくとかなり自然な形で告白シーンがやってきて、それに対する椎凪の反応も実に良かった。
「私はにーさんがいいなら全然。にーさん好きだし」
この世界で過ごした時間がきっかけではあるが、それよりも前からずっと兄の事を慕っていたというのがよくわかる。

付き合った後も強気な態度は変わらず、終始兄の事を守ろうとする彼女だが、えっちの際は途端にしおらしくなるというのがまた素晴らしく、シーンについてもヒロインの中で一番良かったかなと思う。炬燵のシーンは少し心配にもなったが。

終盤にて実は二人とも神様である事が判明したり、それがきっかけで色々と問題が生まれたりもするが、最終的には実に二人らしい…というかこの作品らしい結末を迎えていた。まあ変な方向に行き過ぎなかった点は良かったと思うので、私としては満足。


●みこと
ヒロイン達の中でも特に好意をストレートに伝えてくるタイプの女の子で、共通√の時点で既に主人公への好き好きコールが止まらなかった。他√で失恋する姿を見てきたのもあり、彼女がいかにして結ばれるのか、また恋人になった彼女の反応はどのようなものなのか、気になりつつ読み進めていた。

恋人になってからえっちまでのスパンがかなり短く、彼女がどれほど主人公の事を想っていたのかが伺える。初夜自体も濃厚だったが、他のシーンもやたらシチュエーションが凝っていて、ヒロインの中では最もえっちな女の子だった。犯されつつ、喘ぎつつも煽る精神を忘れない点がすごく良い。

終盤の話も出来はさておき実に私好みの内容で、彼女が消えた後に明らかになる彼女の過去と、それから本心を踏まえながら日常シーンを振り返るとじんわりと沁みてくる。主人公と過ごす日常の一つ一つが彼女にとって幸せな時間であり、大切なものだったのだ。

ひとりぼっちだった彼女が二人の娘を産み、母親になったのだと思うとなんだか感慨深い。主人公にはこれからも彼女の夫としてしっかりと支えていってもらいたいものだ。



総括としては気になる所こそあるが、最終的な着地点はどれもそれなりに良かったかなと。あとは単純に自分の好みのキャラクターが揃っていたので、気持ちとしてはかなり満たされた作品だった。