序盤は主人公のカジノに懸ける思いが語られたりもしていて、退屈ながら良い部分も確かにあった。だがまあ、結局は絵を楽しむべき作品だったかなと。読めば読むほど残念な部分が露わになっていった。
最近よく見がちな異世界転生モノという事で、本作も現実世界で命を落とすことにより物語が始まるわけだが、その死因が宝くじに当たった衝撃で心臓発作を起こしてしまったからというまあ衝撃的なものだった。元々ギャンブル依存症だった彼らしい最後だが、異世界転生してからもギャンブルにのめり込んでいた。まさにバカは死んでも治らないといったところ。
そんなギャンブル好きの主人公は異世界でディーラー兼オーナーになっていた。巻き上げられる側から巻き上げる側に回り、時に女ギャンブラーを負かしカジノ内で見世物にする。そうやってエッチなシーンが生み出されていくわけだが、個人的に見世物にするという点があくまでカジノを繁盛させることに重きを置いていて良いなと思う。その辺に転がっている作品であれば負かした後、即挿入して気持ちよくなっていただろう。
ただ、そうやって何となくえっちして終わりではない点は評価できるのだが、かといってカジノ経営物語が面白かったかというとそんなことはない。個別√によってはカジノ経営の危機に迫ったり、一旦カジノを放棄する場面なんかも生まれて、話にもそれなりに深みが出てくるのだが、結局はヒロインと慰め合った後、雰囲気だけでエンディングに突入するのでやはり面白くはなかった。
個別√に関しては分岐した後にそのヒロイン固有のエピソードが語られることもなく、尺のほとんどをエッチなシーンを占める点が残念だったかなと。まあ話に期待していないにしても、各々のヒロインが個性を失い、皆同じような反応をするようになるのはいただけなかった。
特にソーニャなんかはユニークなキャラをしていてわりと気に入っていたのだが、処女で且つ受け体質ということで、サキュバス設定に何の意味もなくて笑ってしまった。またサラも同様で普段から主人公の傍にいる相棒的なヒロインであるにもかかわらず、それを全くと言っていいほど活かせていなかった。むしろ個別√に入ってからの方が魅力を落としていたように感じる。
あとはまあ一応ミニゲームの存在にも触れておこうと思う。カジノという事でそれっぽいミニゲームが用意されていたわけだが、そのクオリティはあまりにも低い。ADVのミニゲームなので過度な期待はしていなかったが、それでも笑いが零れてしまった。あれをプレイヤーに強制させず、「イカサマ」を選択肢に用意したのは英断だったなと思う。スタッフもプレイしていて気付いてしまったのだろう…つまらなさに。
振り返ってみると良い点もあまりなく、結局は絵を売りにした抜き性に特化した作品だったかなと。500円セールで売っていたら買ってみてもいいのではないだろうか。たとえそれでも満足のいくものではないと思うが…。