お話にはあまり魅力を感じなかったものの、ヒロインの魅せ方はとても良かったと思う。特に殻を破った後の某ヒロインの破壊力は凄まじかった。可愛すぎではないかえ?
一人前の従者になるべく王侯貴族が通う「王立サンドリヨン学園」にやってきた主人公が、学園生活を通じて様々なヒロイン達と交友を深めていく。主人公がこの道を選んだのはとある少女との約束のためだったとの事で、そういう意味だとTrueヒロインはベルナデッドになるのかなと。しかし、だからといって他√に力が入っていなかったわけでもない。良い意味でも悪い意味でも大きな差はなかった。
共通√では従士科の学生らしくファグマスターである龍未と共に訓練に励んだり、ヒロイン達と会話を重ねることで距離を詰めたりしていく。といってもヒロインは初対面から主人公に良い印象を抱いており、√分岐の頃にはいつ落ちてもおかしくないような状態になっていた。まだ余裕を見せていたのは織姫くらいじゃないだろうか。
特にベルナデッドなんかは久々の再会に舞い上がっていて、品格を保とうとしつつ、時たま気持ちが抑えられなくなっていたりした。その際の慌てっぷりは大変愛らしく、見ていて頬が緩んでしまう。
√分岐した後は各々ヒロインに沿った話に変わっていくのだが、どれも鬱展開などにはならなくて、言ってしまえばイチャイチャがメインであった。ヒロインにもよるが初えっちまでのスパンがかなり短く、またその次のえっちもすぐやってくる。中には一晩で四つ以上のCGを使ってくるなど、それはもうシーンへの力の入りようが凄かった。
以下√後の感想
〇ベルナデッド
初恋で今も想い続けている相手との再会なんてまあ興奮しないはずもなく、主人公を見つけた瞬間から彼女の中では物語が動き出していたのだとすら今は思う。ベルナデッド√を読み進め、初恋が実った時に見せてくれた彼女笑顔が本当に幸せそうで幸せそうで、こちらとしても祝福したい気持ちに包まれた。
付き合い始めて大きく変わったのはやはり彼女の態度。日常の何気ない会話の中でも、身体を重ねている時でも欠かさず「好き好き好き」と言いまくる。また、気に入らない事があるとジト目で「キライキライキライ」と連呼。まあ最高に可愛かった。
お話としては姉であるエラが深く関わってきて、最終的には大きな壁となるのだがエラはエラで妹を想って行動しているので、姉妹喧嘩とかそういう話ではない。あくまでそれぞれの優しさがぶつかり合う姉妹愛を感じるお話になっていた。ただ、それが良いと感じたかというと微妙な所で、レオポルトやフレンダの使い方も少々勿体なく感じた。私としてはもっとベルナデッドというヒロインを掘り下げたお話にしてほしかったかなと。
〇アンリ
「アンリ」は兄の名前で正確には「アンナ」なのでここからはアンナ呼びでいく。何かと主人公と会話したがったり、美味しいものを食べると弾けたような笑顔を見せたりと健気な少女という言葉がよく似合うヒロインだった。まあ、健気だからこそ利用されたわけだが。
兄の身代わりにされたり、名ばかりのフラワーズカラーに選ばれたり、やりたい放題にされている彼女を見て少し心が痛んだ。ただ、それは主人公も同じだったようでしっかりと彼女を守ろうと行動していた。個人的にこの√が一番男らしい彼が見られたのではないかなと。熱量は足りないが、師との一騎打ちなんか結構好きだった。
そんな感じで話自体はまあ良い方向に進んではいたのだが、最後でだいぶ冷めてしまった。いくら事情があったとはいえ、あんなにも簡単にアンリを許す流れになってしまうのはいかがなものかと思う。アンナが好きだったのもあるが、全く理解できなかった。
〇奈緒美
ヒロインの中では唯一従士科の女の子で、他ヒロインと比べるとかなり気が弱い。おまけに緊張しがちで他人との会話に慣れていないとのことで、主人公の積極性が求められる√になっていた。
「一緒に行こう、一緒に楽しもうぜ!」なんて言い出す主人公を見て、おいおいキミそんなタイプだったっけと首を傾げそうになったが奈緒美の事を考えるとよくやってくれたなと思う。嬉しさのあまり泣き始める彼女を見て本当に良かったねと。そんな初心な彼女と実は童貞な主人公とのやりとりはとても初々しくて、見ていて心地よかった。そこからの加速は凄まじかったが。(アブノーマルなプレイにどんどん挑戦していた)
で、お話はどうかというと主人公の見る夢という形で先祖の人物たちのやりとりをメインに進行していく。端的に言ってつまらなかった。というのも私が見たかったのは「奈緒美と主人公の話」であり、そんなわけのわからない老人の話ではないのだ。ちょろっと関わってくるならまだしも、ここまで侵食してこられると流石に目を覆ってしまいたくなる。
〇織姫
従士たちを統べるオタサーの姫こと織姫。その高飛車な態度から個別√に入ったらそこそこ可愛くなりそうだなぁなんて考えていたが、考えが甘かった。仮面が剥がれ、女の子として姿を見せるようになってからの織姫ちゃんは、それはもう最高に可愛かった。「私のこと、嫌いにならないで…」じゃないぞまったく、嫌いになれるはずがない。
壁ドン事件後の彼女はすっかり恋する乙女になってしまって、主人公の気を引くためなら何でもするし、かと思えば主人公がこっちに向かってくると隠れたりするなど女の子らしさ全開だった。ベルナデッドも凄まじかったが、織姫のギャップ萌えの破壊力はさらにそれを上回っていた。
この√の話はそんな愛おしい彼を手放したくないという彼女の想いに沿って最後まで進行していく。なので他√と比べると少し変わった話作りになっていたが、私はむしろこちらの方が好きだし、他√も変に話を膨らませるよりかはこの路線で行った方が読後感は良かったのではと思う。
特別面白いお話はなく、大きな不満もいくつかあったがヒロインに萌えることが出来たのでまあまあかなと。特に織姫ちゃんは追加エピソードが欲しくなるくらいにはぞっこんだった。