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asteryukariさんのうちの主は妖怪の常識を知らないの長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
うちの主は妖怪の常識を知らない
ブランド
あざらしそふと+1
得点
70
参照数
503

一言コメント

水無月あいるという素敵な主様に出逢えてよかった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

妖怪と人間が共存する世界ということで鬼やらサキュバスやら座敷童といった面々が登場する。そして、そんな彼らと人間たちの間で制定されたのが「妖怪六法」というもの。人間に危害を加えてはいけなかったり、法律には従わなければなかったり、妖怪の領域に引き込んではならなかったり。当たり前ではあるが人間の方が弱者なので内容も人間に優位なものとなっていた。

本作の主人公は人間で、ヒロインは妖怪という事でこの妖怪六法も深く関わってくるわけだが正直、後半はあまり意味を成しておらず、「妖怪六法とは?」と頭の中で疑問符が飛び交う場面がいくつもあった。制限するモノなので活かすのは難しかっただろうが、もう少し工夫してほしかったように思う。

また、物語に関してもせっかく二つのお話を用意したのにどちらも同じ展開を迎えるのは勿体ないなと思う。助けに来たはずが足を引っ張るだけの主人公を見てぽかんとしたり、特に良いなと感じるくだりでもなかったので、はっきり言って苦しさが二倍になってしまった。警察に拘束されて終わりという点も冷める。

といった感じで話に関していえば不満がいくつもあったわけだが、それでもこの作品の事を嫌いになれないのはヒロインにとんでもなく可愛い子がいたからだ。言うまでもなくあいるちゃんの事だが、彼女の可憐さは本当に止まる事を知らなかった。パッケージを見た段階でもそこそこ可愛かったのに、物語を読み進めていく度に可愛さが上乗せされていった。

想ったことを素直に口に出せない天邪鬼なあいるちゃん。毒を吐いた後にすぐ後悔して自己嫌悪に陥ってしまう所なんかは彼女の大きな魅力であり、愛おしい部分だ。そんなちょっとした日常会話だってままならない彼女が恋愛をするだなんて、相当長い道のりになるのではないかと見守っていたが、よくがんばってくれた。

嬉しかったのがその辺の過程を丁寧に描いてくれた点で、気持ちを伝えるために数日、キスをするために数日、えっちをするために数日と少しずつステップアップしていってくれた。そして、一つのことが上手くいく度に笑顔を増やしていくあいるちゃんはそれはもう最高に可愛らしかった。素直になれない所が最後まで残っていたのも良い。

また、もう一人のヒロインである風薫やのん、紗愛耶といったサブヒロインもあいるちゃんには及ばないものの可愛らしい女の子だった。特にサブの二人に関しては攻略できないのがとても惜しいので、ぜひ続編を出してもらいたいものだ。

振り返ってみるとやはりあいる様の存在が大きかったように感じる。あんな主様にお仕えできたら本望だろう、主人公にはこれからも彼女を支えてやっていってほしい。