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asteryukariさんのココロのカタチとイロとオトの長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
ココロのカタチとイロとオト
ブランド
HULOTTE ROI
得点
68
参照数
1051

一言コメント

中盤辺りまではそこそこ好きだったのだが...。こんな事になるくらいなら起伏のない恋愛物語でよかったと、そう思ってしまう。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

他人の心を見たり聞いたりすることが出来る不思議な力を持つ主人公。そんな彼が初めて心が見えない人と出会い、深く関わっていく。その相手こそがヒロインである晴音ちゃんだったわけだ。

物語としてかなり広がっていきそうなテーマを用いてきたわりには落ち着いていて、中盤辺りまでは普通の初々しい恋愛が綴られていく。心が見えない故に負の感情が伝わってくることもない、しかも外見はとっても愛らしい。そんな天使のような女の子が手を差し伸べてきたら、それはもう掴むしかないだろう。晴音にベタ惚れな主人公の気持ちがよくわかった。

一方、晴音ちゃんは晴音ちゃんで無垢すぎて主人公の気持ちを汲み取ってやれない。恐らく二人だけであったら一向に距離が縮まることはなかっただろう。和彩ちゃんがいて本当に良かった。はじめは変な茶々入れるなよ子娘なんて思っていたけれど、結果的に彼女の行動が彼らに気付きを与えていた。

ただまあ和彩ちゃんも良い友人キャラで終わることはなく、二人と関わっていくうちに主人公に好意を持つようなる。はじめからそれっぽい描写があって、ナンパから助けてもらった事も加味すると主人公に惚れるのは十分理解できるのだが、個人的にはあんな卑怯な男に靡いてほしくなかったなぁと。結局、ごたごたの中でさっと切り捨てられていたのも悲しい。区切りをつけたのは評価できるが、処理が雑すぎる。

終盤は本当にそんな感じで、晴音の件には「おっ」と思う瞬間もあったが、その後の話作りがアバウト。「ココロが繋がっているって素敵だね」じゃないぞまったく、そんな雰囲気だけの言葉で納得できるはずないだろう...。良い彼氏風な態度をとっている主人公にも呆れてしまったし、そんなペラペラの台詞に涙を流す晴音ちゃんにも冷めてしまった。

てな感じでまあ終盤はため息が止まらなかったわけだが、晴音ちゃんに対する和彩ちゃんの対応を見て救われた。やっぱりあの子は良い友人だ。

物語を読み終えてみて思うのは、やはり終盤が残念だったなと。起伏を作るという意味ではよかったかもしれないが面白さはなく、私なんかは新しく負の感情が生まれてしまったので何なら無い方が評価は上がったかもしれない。ただ、それだと何の変化もないただのイチャラブゲーとして捉えられてしまうので難しいところ。本当にもう少し上手くやってほしかったと思うばかりである。