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asteryukariさんの闇染Liberator -闇堕ち勇者と堕ちる戦姫-の長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
闇染Liberator -闇堕ち勇者と堕ちる戦姫-
ブランド
Escu:de
得点
73
参照数
2119

一言コメント

前作の良い所をしっかりと受け継いでくれた。本作が初見であれば不満も募るかと思うが、慣れていればそれほど大きな不満はないはず。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

魔王に憑依された主人公が夢のハーレムを手に入れるため、女戦士たちと戦い、自分色に染めていく。主人公のタイプや魔王の性別、それからヒロインの種類などなど細かい部分に違いはあれど大まかな内容は前作と同じ。交流パートでヒロイン達の情報取集を行いつつ、探索パートではヒロインを見つけ出し、戦闘を行う。先頭に関して前作と同じくセミオートバトルシステムを採用していた。

このセミオートバトルシステムが肌に合うかどうかは本作を楽しむ上でそこそこ重要になってくるのかなと。私自身、前作で初めてこのシステムに触れた時は退屈で仕方なかった。技のゲージが溜まるまで待たなければならないあの待機時間と単調な操作。加えて手を抜くとあっさりやられてしまう絶妙な難易度。どれをとっても好意的には受け止められなかった。

しかしながら二作目となるとさすがになれるので今回はそこそこ楽しめたのかなと思う。また、気持ち的な問題だけでなく、実際に用意されている技も前作より汎用性がある使いやすいものは揃っていたかなと思う。難易度ノーマル程度なら多少のゴリ押しも効いた。

そして、作品を楽しむ上で最も重要であろうヒロイン達についても本作の方が好みの女の子が多かったかなと。主人公たちが通う学園が超お貴族様学園とのことで良い具合に気の張った面々が揃っていた。そんな彼女たちの心の闇を突き、篭絡していくのがそれはもう楽しくて仕方なかった。

本当に女の子の甲乙がつけ難い作品ではあったが、その中で最も好みの話及びヒロインはとなると桜宮ひよりちゃんが抜きん出ていたように感じた。流石はセンターヒロインといったところか、ちゃっかり主人公の部屋の隣に引っ越してくる所なんかは優遇されているなと思うし、その隣人というポジションを上手く生かしたシナリオが用意されていた。

政治家の父を持つ彼女は父の立派な秘書になるべく、周りの期待に応えるべく努力し続けてきた。そうやって我慢し続けてきた彼女がようやく”自分”を考えるようになる。話自体はありがちだが、主人公の寄り添い方に好感を覚える場面が多かった。彼女が対面している問題に対して直接介入するのではなく、彼女の話を聞き、彼女を自分の色に染める。それらの行動は結果的に彼女の救いになっていた。

ベランダでひよりちゃんが主人公に対して悩みを打ち明けるシーンはかなり好きで、会話の内容は勿論、CGに関しても良いなと感じた。夕暮れ時というのがまた素敵だ。

また、恋人らしい関係という意味でひよりちゃんは強かった。闇堕ち時に彼女が言った「同じところに帰るのに時間をずらすなんて、不思議」という台詞が頭から離れない。しかも本当に嬉しそうに言うものだから…隣人ポジションの破壊力というものを久々に味わった。

と、ここまでひよりちゃんをベタ褒めしてきたが、闇堕ち姿についてはキャロライン・ミカサが遥か上をいったかなと。黒基調の軍服姿に金髪美女なんて美しくないわけがないのだ。おまけに制帽まで被ってくれるからもう大興奮。シーンも彼女優位で始まるものが多く、素晴らしい光景を数多く見せてくれた。口角の上がり方が本当に艶めかしい。

強気な女の子を自分色に染め上げることの楽しさ、それから染め上げられたヒロインの幸せそうな表情。この作品に求めていたものがしっかりと詰まっていた。三作目が出るかはわからないが、コンセプトは好きなので出たら購入しようと思う。