導入では引いてしまったがその先にある物語は悪くなかった。話はそれなりだが、会話のリズムがわりと好み。
眼鏡をかけた幼馴染が可愛すぎて勢いのまま告白。なんて軽薄なやつなんだと思っていたら相手の幼馴染も即OKを出していたのでたまげた。ハイスピードな結ばれ方にただただ驚かされた。しかしながら、その後の二人の関係は良好であり、時に良いなと感じる場面すらあった。会話に幼馴染ならではの安定感を持ちつつ、そこに少し初々しさがプラスされる。その絶妙なバランスが心をくすぐってきた。
また終盤では眼鏡が割れてしまうという破局もあり得る展開が要されていたが、そんな心配は無用だったよう。眼鏡が好きという気持ちよりも、歩のことが好きという気持ちの方が上なのだと、明確に示す素敵なシーンに変わっていた。また良いのが歩のフォローの仕方で、眼鏡をかけた歩が最も好きな主人公にとってはたまらなかっただろう。凄く不器用な二人だけれど、お似合いだなぁとニヤついてしまった。
そしてエピローグも二人の物語に相応しい締め方をしていて、読後感も良かった。全体的に見るとやっぱり尺が短いし、内容もあっさりしている。だが、あの始まり方からここまで自然な物語を作り上げたのは評価すべき点ではないかなと。前作はあまり肌に合わなかったが本作は不快感なくそれなりに楽しむことができた。眼鏡をかけた方が可愛い所もしっかりしていて嬉しい。