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asteryukariさんのかけぬけ★青春スパーキング!の長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
かけぬけ★青春スパーキング!
ブランド
SAGA PLANETS
得点
76
参照数
2491

一言コメント

弾けるような青春を感じる瞬間は少なかったものの、不快な要素もあまりなく、純粋にキャラクターを愛でることができた点はとても良かったと思う。理々ちゃんともっと一緒にいたい。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

初っ端からタイトルと相反するようなリアリスト主人公が出てきた時は多少不安も生まれたけれど、捻くれている系ではなかったのでなかったのでホッとした。なんだかんだ押したら前に出るし、しっかりと後ろについてくる。加えて女の子への興味もちゃんとある。作中でヒロインも弄っていたがツンデレさんなのだ。

そんな彼を振り回し、部内の中心人物だったのが幼馴染である響ちゃん。主人公とはしばらくの間離れていたが流石は幼馴染といったところか、ただ振り回すのではなく時には主人公を励ますポジションに着けるのが良いなぁと思う。共通√はこの娘のおかげで全体が動いていったような、そんな印象だった。

共通√における青春とは皆でワイワイすることを指していたが、個別√に入るとほぼほぼ恋愛に特化していく。わりと急接近気味で恋人関係が始まるものの、共通√の時点でヒロインのほとんどが主人公に好意向けている状態だったのであまり違和感はなかったかなと。ただ、個人的にはもう少し時間を重ねて欲しいなと思う場面もあった。

個々の話の内容についても触れたいので個別√ごとに感想を述べていく。


○栞里
声優さんの声を聞いた時に電撃が走った。「こ、この声は…!」と。最近はめっきり出番も少なくなったけれど、それでもこうやって新作に出てくれるのはありがたい限り。これからも頑張っていただきたい。

とまあ、こんな話はさておき栞里ちゃんシナリオについて。控えな性格かと思いきや裏ではやってることやっていた。Vtuber、流行りの文化だ。詳しいことについては全然わからないが、最近の新作でよくシナリオに参入してくるのである程度の知識はついてきた。

またリスナーがきっかけでシリアス展開に突入していくのかなと思ったがそうではなく、純粋にどうやったら登録者が増えるかを研究していたので安心。ただ、それが面白かったかというと話は別で、正直退屈に感じた。また、Vtuber一本といった感じではなく、七割方はイチャイチャが描かれていたので中途半端だったなぁと。ただ、コンテストに通らなかったのはシナリオに忠実なので評価したい。

こうしてVtuberとして活動した思いでこそが後々思い返せば青春になる。そう考えれば少しは納得できるかもしれない。


○凪子
ノースリーブ制服は物凄くポイントが高い。恋愛脳でヒロインの中でも群を抜くちょろインな点も素敵。こんなの共通√に入ってすぐ押し倒せば蕩けてしまうのではないだろうかと、そう考えていただけに付き合うまでの流れが案外丁寧だったので驚いた。かと思いきや家に来たら即シ始めたから笑ってしまった。でもそんなエロエロな凪子ちゃんがたまらない。

ただ、話が致命的に合わなかった。サーフィン自体は夏!青春スポーツ!な感じで悪くないと思うのだが、そうやって青春しているのはヒロインだけなのが...。勿論、主人公側もえっちで青春?を楽しんではいたけれど、日頃は彼女の精神ケアに注力していた。

エピローグについても二人の物語としてはどうなのかと。首を傾げてしまった。

ただ、アフターストーリーの道着でえっちする点については非常良かったと思う。安心したぁ…合気道の話がここで生きた......?


○律
一人クリアすると解禁される義妹√。彼女の√がある事を知らなかったので初見はびっくりした。サブだしおまけ程度の内容だろうなと思い読み進めていくと案外ボリュームがあって、話の内容についてもわりと大事な事が書かれていた。

主人公の母との事が気になっていた自分としてはこの√を用意してくれた事自体はそこそこ嬉しくて、実は良い母親だったみたいな展開にならなかった点も良い。まあ読んでいて面白さはなかったけれど、心のモヤは解消できたので悪くなかったかなと。

また、響ちゃんが切なくも逞しい役割を全うしていたのが良かったかなと。攻略に向けて気合が入った。


○理々
顏といい、スタイルといい外見はパーフェクトな女の子。そして中身も素晴らしい。

話に起伏はないし、感動するような場面はあまりない。けれどもこの√が一番満足感を得られた。その理由は徹底した不純物の排斥にある。クソシリアス展開はおろか、本当に不快だと感じる瞬間が存在しないのだ。

そう、私がこの娘に求めていたのは可愛い反応を見たいとか、えっちな彼女が見たいとか、そんな萌えを感じられるシチュエーションだけだった。この√はその願いを見事に叶えてくれたわけだ。上質な萌えがこれでもかと詰め込まれている。純度100%の恋愛ストーリーがそこにはあった。

話だけ切り取ってみたら大したことはないが、彼女が好きであればあるほど幸せになれる。「こういうのでいいんだよ」がピッタリなお話だった。


○響
温めておいた響√、幼少期から好感度MAXということで、主人公といつ結ばれてもおかしくないような状況が続いた。

幼馴染なのでサクッと付き合うパターンかなと見守っていたら素敵な告白シーンをぶつけてきたので舞い上がってしまった。響の方からという点も彼女らしくていいなと思う。勿論、逆を望む気持ちも少しはあったが、この√に関しては告白してからもずっと彼女主体だったのでこれでいいと思う。

この√は他とは違い、共通√で見られた「みんなで一つの目標を目指す」青春が描かれていた。これが凄く嬉しくて、青春が恋愛だけで終わっていない点がとても良い。「青春スパーキング!」が一番合っているのはこの√で間違いないだろう。


○橘花
共通√での和水さんとのやりとりを見るに何かあるだろうなと勘繰っていたが、まさかグランド√担当とは。しかもその内容は今までみたいな眩しいものではなく、わりと重い。ここにきてサガプラくんが仕掛けてきたわけだ

恋愛パートではいつもとは違う少女らしい反応を見せる橘花ちゃんを見て満面の笑みを浮かべてしまった。遠慮がちな彼女を強引に押し倒し、責めまくる主人公には苦笑だったが。台詞が間男役のチャラ男みたいだったぞ...。

終盤は切なさで満たされたような話作りになっていて、橘花の放つ言葉の一つ一つが染みてくる。自分はカメラに映らないのにパンケーキの写真を撮っていたのだと思うと...。

結末は感動には至らなかったものの、エピローグが結構好きだったのでそれなりに良かったのではないかなと。橘花ちゃんの事をもっと強く想っていれば感じ方もだいぶ変わったかもしれない。







初めの時点では四人しか攻略できなかったが、最終的に六人ものヒロインを攻略できるようになったのでボリュームもそこそこあった。中には疑問符が飛び交う話もあったけれど、好きな話もきちんと存在したので良かった。ヒロインは…理々ちゃんがナンバーワン!