「ヘッドショット」と聞いて少し身構えたけれど、蓋を開けてみたらとっても平和で甘い世界が広がっていた。
本作はちょっぴり小賢しいお嬢様と過ごす日常がメインであり、そこに大きな起伏や感動的な展開などは一切存在しない。だから自然とヒロインにどれだけ惹かれたかが楽しめたかどうかに繋がっていく。
はじめは高飛車でもなくかといって上品な振る舞いをするわけでもない彼女がお嬢様言葉を使うことに少なからず違和感を覚えたのだが、だんだんと慣れてくる。彼女はこういうキャラなのだ。また自分の思惑に主人公がハマった、あるいはうまく誘導することができた時浮かべる満面の笑みがとても可愛い。
また、良かったのは付き合った後もからかうことを止めない点。付き合った瞬間からもうデレデレになってしまい、女の子らしい一面を見せる機会が増えるというのも良いが、彼女のキャラに慣れ、徐々に惹かれていった身としてはきちんとキャラを通してくれた事に感謝すら覚える。基本的に行為の際も彼女に分があり、彼女が誘う形で進行していくがそのうち乱れていくというのがまた。普段とのギャップも相俟って非常に愛らしかった。
そして、からかっている上で自分の気持ちを抑えきれなくなってしまう場面なんかも結構好みで、思わず自分の胸の中にうずめてしまいたくなった華ちゃんを見てほっこり。華ちゃんもきちんと女の子であり、主人公の彼女だったわけだ。話を締める際の「だんなさま」はからかい半分、本心半分といったところだろうか。いや、もしかしたらからかい九割かもしれない。
本当に奇妙な女の子ではあったが、最後はきちんとヒロインらしい表情をしてくれて、なんだかんだそれなりに良かったのかもと思うように。これ以上にないくらいお似合いの二人だ、これからも楽しく幸せな日常を送っていくのかと思うと、自然と頬が緩んだ。