ヒロインと生活することで、何もない真っ白な世界が桃色に染まっていく。えっちシーンが多く、内容自体はあっさりとしているが、節目節目で語られる好きという言葉からは幸福感が生まれていた。
とりたてて悪いこともないけれど良いこともない、そんな平凡な毎日を送っていた主人公の前に現れた三人の女の子。日常に彩を加える、それだけでこんなにも世界は変わるものなのだと、それがひしひしと伝わってきた。
ヒロインが三人ということで、まあさくっと終わってしまいそうだなと考えていたのだが、三人だからこそ一人一人に対してのボリュームがあり、読み終わった後にはお腹いっぱいになってしまった。こういうのは素直に嬉しくて、やっぱり三人くらいが丁度良いのかもしれないなと感じたり。
共通の段階である程度関係の構築は済んでいるため、あまり面識のない二人が生活していくうち心惹かれ合っていくという内容ではない。むしろ好き合って、付き合って二人の巣の中で愛を深めていくといったところか。一緒に暮らしていくうちにどんどん大胆に、えっちになっていく女の子たちは読む者を惹きつける。
初めのうちは律儀にコンドームをしていたのに、やがては会社先、果てはテーマパークで盛り出すから驚きだ。でもそれだけお互いの事を想っているのだなと考えるとそんなには気にならない。まあ笑ってしまうのは仕方ないけれど。
そうやって肉欲に塗れた日々を見せ続けながらも、最後はきっちりと二人の関係についての答えを用意してくれるからありがたい。今まで感じたことのなかった、ほんのりと、けれども確かにそこにある幸せを十分感じることができた。
以下ルートごとの感想
●舞衣√
献身的で真面目な彼女との生活はまさに王道。彼女だけは他の二人と違い、関係が浅いまま一緒に暮らしていくことになるわけだが、だからこそお互い発見があって、関係が強固になっていく過程を楽しむことができた。協力して料理を作る場面なんかは印象的で、仲良く楽しくやっている光景は見ていて微笑ましい。それにしてもパッとこなしてしまう主人公のポテンシャルの高さには驚かされた。一人でも大丈夫じゃん…。
真面目な彼女だけれど、実はすごくえっちな女の子で、自分から積極的にえっちを誘っていくようになるから驚きだ。しかも嬌声もどんどん卑猥なものに変化していく。メイドさんなんてけしからん。カーテンでヴェールを表現するのがとても好きだった。
●結愛奈√
二年ぶりに再会した妹がギャルっぽくなっている。お兄ちゃんの立場からしたらさぞショックなことだろう。でも根底にあるものは変わっていなくて、むしろ離れることで気持ちが強まっている結愛奈ちゃんが可愛くて仕方なかった。
外では当たりが強めなのに、二人きりの時は甘えん坊。アニキ呼びからお兄ちゃん呼びに変わっていく様は読み手に癒しを与えてくれる。酔って一時的に”おにいたん”呼びなった時は思わずガッツポーズしてしまった。最高にかわいい妹ちゃんだ。
この√の良い所はそれまで一緒に居たギャルの友達をないがしろにしない点で、その友達たちもとても良い子だったのが嬉しい。付き合いが悪くなってしまったのに彼氏ができたと知ると即座に祝ってくれる。主人公も言っていたが本当に友達に恵まれているなと思う。
●美咲√
会社の先輩ということで、さぞえっちなお話なっていくんだろうなと期待に胸を躍らせ読み進めていくと…やっぱりえっちだった。唯一の年上ヒロインだけあって、その色気は凄まじい。魅惑的に笑う彼女に甘い声にそそられない者などいるだろうか、そりゃあビーストにもなってしまう。
先輩らしく、基本的に彼女がリードする形で事は進んでいくが、愛し合っている時は別だ。終盤は互いに名前で呼び合うようにもなって、そのまま夫婦へと…。結婚の時のやりとりは主人公にもよく言ったと褒めてあげたいが、やっぱり美咲さんだ。
「あなたがいいの」。その力強さは年上からくるものではなく、一人の女として、生涯のパートナーとしての覚悟からくるものであり、とても幸せな気分になった。覚悟を決めた女性の姿は実に美しい。これからも幸せが続いてほしいものだ。