その独特の世界観には心惹かれたし、物語だって十分以上に面白い。一周目までは...。
普段、女性向けゲームはあまりやらないのだが昏式さんが書いているという事と、あらすじを読んで面白そうだと感じたためプレイ。世界を滅ぼす魔物が棲む地で戦い続ける男達の物語なんてそんな熱そうなゲームやらないわけがない。また、パッケージ絵が非常にかっこいいのポイントが高いかなと。あの絵に惹かれて購入を決めた方も多くいるのではないだろうか。
主人公は平民の兵士ということでまあ見た目は強者とは程遠い、ふとした瞬間に死ぬのではないかと思うほどのキャラだったが…死なない。腸を抉り出されても平気だったり、腕を高質化させて敵の一撃を防いだりと、可愛い顔してとんでもない奴だった。しかも公式で大きく宣伝されていたように「主人公総攻め」なのですぐ欲情するし、ガンガン掘る。人は見かけによらないとはこの事だよなぁと若干の恐怖心を抱きつつ彼を眺めていた。
で、そうやって契りを交わしてついでに力を高める事を本作では「結魂」と呼んでいた。驚いたのはその手軽さと縛りのなさ。流石に4,5人と結魂することはなかったが攻略キャラ一筋という感じでもない。まあ永羽様が強すぎるから仕方ないかなと。彼がいなかったらあの洞窟での戦闘はどうなっていたのか...。
物語については一周目だとかなり面白くて見入ってしまう事もしばしばあった。魔物を倒すという単純な話で終わる事のない、裏がある話づくりにとても惹かれたのだ。また、容赦のない展開が用意されているのも良くて、終わり方もビターな感じがたまらない。それでいてあのタイトル画面の演出、これはもう名作だと確信した。一周目までは...。
キャラクターによって関係性が全然違うし、その√特有の話なんかもきちんと用意されている。ただ、終盤はほとんど同じような作りになっており、オチも同じ。キャラクターの言動に差異はあれど一周目よりは格段に面白さが下がる。永羽様は最強だからなんかやってくれるかなと期待しつつ眺めていたがこれもやはり同じ。これが本当に勿体無かったなと思う。
全ての√を読み終えた後に追加される「それから」に関しても上記と同様の事が言えて、尺自体もかなり短いので、だったら各√エンディング後にくっつければよかったではないかと感じた。
パッチを当ててもなお埋まらないCGの事を考えるとやっぱり時間が圧倒的に足りなかったのかなと。今度アップデートが来るとのことだが、その時に再びこの作品を起動することはないだろうし、間に合わせてほしかったという気持ちが強い。